プレイレポート
[プレイレポ]デッキ構築ローグライト×ポーカーの新感覚ゲーム「Balatro」の中毒性がヤバイ。激熱コンボを決めて脳汁を出そう
本作は2月21日に発売された比較的新しいゲームなのだが,10日間で50万本を売り上げており,Steamでの評価も「圧倒的に好評」を得るなど,とくに海外で人気となっているようだ。
筆者も「どれどれ」と味見をする気持ちで本作に触れてみたのだが,なるほど確かにこれは面白い。ちょっと触るだけのつもりが気づけば深夜になってしまう時間泥棒ゲームで,暇な時には一日中やっていたい気持ちになる中毒性の高さであった。
そんな「Balatro」だが,PC(Steam)版が3月9日に日本語に対応して英語が分からない人にもプレイしやすくなったので,布教を兼ねて本稿でそのゲーム内容を紹介していく。時間が溶けるぐらいハマり込めるゲームを求めている4Gamer読者はぜひご一読いただければ幸いだ。
デッキ構築+ポーカーという新感覚ゲーム
本作は,デッキ構築ローグライトにポーカーを組み合わせたゲームなのだが,これだけ聞いてもほとんどの人は「???」となってしまうだろう。そこで,はじめにゲームの流れから簡単に紹介していこう。
まず,本作で挑戦することになるステージの仕組みについてだが,あらかじめ定められた目標スコアに既定の回数で達すればステージクリア,逆に達せなければゲームオーバーとなる。
では,そのスコアをどうやって稼ぐのかという話であるが,手札に8枚配られたトランプのカードの中から最大5枚までプレイすることが唯一のスコア獲得手段となる。カードをプレイしたあとは,手札が再び8枚になるまで山札から補充される。
ここの「最大5枚のカードをプレイする」という箇所がポーカーになっている。ポーカーと言ってもテキサスホールデムのようなものではなく,単にポーカーの役を獲得スコアの指標として使用するというものだ。それぞれの役に「チップ」と「倍率」が設定されており,チップ×倍率の合計値がプレイした手札で獲得できるスコアの計算に使われる。
なお,役以外にも役に含まれたカードからもチップが発生するので,それらもスコアの計算に含まれる。
「ハンド」と書かれた箇所にある数字が手札をプレイ可能な回数で,初期状態では4ハンドとなる。各ハンドで稼いだ合計スコアが目標スコアに達した時点でステージクリアだ。
また,「ディスカード」のコマンドを使用すると,手札を最大5枚まで捨て札にし,捨てた枚数と同じ枚数のカードを山札から引ける。このディスカードを駆使して手札を入れ替え,より点数が高い上位の役を目指していこう。
さまざまな効果を持つ多彩な「ジョーカー」がデッキ構築の鍵
さて,ここまでの内容だけだとかなり地味なゲームに聞こえるかもしれないが,もちろんこれだけということはない。このゲームには山札のトランプとは別に,特別な効果を持つ「ジョーカー」が存在する。
このゲームのジョーカーは普通のトランプのワイルドカードとして使えるジョーカーとは異なり,手札や山札とは別のゾーンに最大5枚まで入手でき,パッシブでさまざまな効果を発揮するというものになっている。
代表的なものだとハンドをプレイしたあとのスコア計算時に「チップ」や「倍率」を増やすものになるが,これらは特定の条件が設定されているものがほとんどだ。
実際にそれらの例を挙げると,「フラッシュ」の役をプレイした時に大きく倍率が上がったり,特定の数字のカードがポーカーの役に入っているときに倍率を上げたりするといったものだ。このジョーカーの組み合わせ次第で大きく点数を稼げるので,いい感じにコンボできる組み合わせを考えながらジョーカーデッキを構築していくことになる。
また,ジョーカーの中に「すべてのカードはフェイスカード(J,Q,Kなどの絵札)として扱われる」という効果を持つものがあるのだが,このジョーカーとフェイスカードと相性が良いジョーカーを組み合わせれば,どのカードをプレイしたときでもフェイスカードプレイ時のバフ効果を受けられる。このように,ジョーカー同士のシナジーをうまく生かすことがこのゲームの攻略のカギとなる。
ほかにも,「すべてのフラッシュとストレートを4枚のカードで作ることができる」という効果を持つジョーカーがいるのだが,これはストレートやフラッシュ絡みのジョーカーと相性がいいことに加え,「♠K/♠Q/♠J/♥10/♠3」のような4枚のストレートと4枚のフラッシュが同時に揃っているカードの組み合わせで「ストレートフラッシュ!」と言い張ることもできる。かなりむちゃくちゃな話だが,それを楽しめるのも本作ならではとも言える。
これらのジョーカーについては,ステージの合間に登場する「ショップ」で購入できるのだが,そちらについてはのちほど改めて触れる。
役を強化する「惑星カード」やデッキに影響を与える「タロットカード」でジョーカーとのコンボを狙う
そして,デッキ構築の要素はジョーカーだけではない。ほかにも使い切りのカードとして,それぞれのポーカーの役を強化できる「惑星カード」や,さまざまな効果を発揮する「タロットカード」が登場する。これらも後述する「ショップ」で購入できる。
惑星カードでは,「ツーペア」「スリーカード」などのそれぞれの役をレベルアップできる。レベルを上げると,それによって役のチップや倍率が上昇し,その役のプレイで得られるスコアが上昇する。
先ほどジョーカーのシナジーの話をしたが,例えば「スリーカード」と相性が良いジョーカーを持っていた場合は,「スリーカード」の役を重点的に強化することで,より大きくスコアを稼げるようになる。自分が組もうとしているデッキにあわせてどの役を強化するか考えるのも,このゲームの醍醐味のひとつだ。
タロットカードの効果はカードの強化や廃棄,スートの変更などデッキ内容に影響を及ぼすものがメインだ。カードの強化については,選択したカード1枚をさまざまな効果を持つ特別なカードに変換するもので,その種類はすべてのスートを持つ「ワイルドカード」,使用時に追加チップ+30を得られる「ボーナスカード」,使用時に倍率+4を得られる「倍率カード」など多種多様だ。
そのほか,選択したカード最大2枚を廃棄してデッキ圧縮をできるタロットや,選択したカード最大3枚をハートやクラブなどの特定のスートに変更するタロット,選択した最大2枚の数字を1つ上げるタロットなどが存在する。また,タロットカードとは別に,より派手な効果を持つ「スペクトルカード」も用意されている。
これらタロットカードやスペクトルカードを活用することで,初期状態のトランプデッキ52枚からさまざまな方向にデッキを改造できるので,所持しているジョーカーの効果とコンボするような構築を目指していきたい。
ステージの合間の「ショップ」ではジョーカーやそのほかのカードを購入できる
ここからは先ほど触れたカードを購入できる「ショップ」の話をしていこう。目標スコアを満たしてステージをクリアすると,クリア報酬として報奨金($)を得られるので,それを用いてショップでさまざまなカードを購入できる。
ショップでは「ジョーカー」「惑星カード」「タロットカード」などが単品でも売られるのだが,これらのカードやトランプのカードなどがランダムで入っている「パック」も購入できる。これについては,ランダムに封入された複数枚のカードから1枚ないし2枚を選べるという形だ。運が良ければ特殊な効果を持つ「フォイル」「ホログラム」「ポリクローム」といったキラキラと輝くレアカードを引けることもあり,ガチャで上位レアを引くのに似たうれしさがある。
なお,不要なカードは売却できるので,ジョーカーを最大所持数の5枚まで購入してしまったあとも入れ替え可能だ。
また,それらとは別に,永続的なバフ効果を持つ「バウチャー」を購入できる。これは各「アンティ」ごとに1回しか購入できないのだが,アンティについてはこのあとに述べる。
スモール,ビッグ,ボスの3種のブラインドをクリアし,アンティ8のクリアを目指そう
強力なデッキを構築しつつ,「アンティ」と呼ばれる一連のステージを突破し,最後に待ち構えるアンティ8をクリアするのがこのゲームの目標となる。なお,ポーカー用語でゲームの参加料を指す「アンティ」とは異なり,単にステージの段階を示すだけの名称なので,アンティが上がったからお金を取られるということはない。
各アンティは「スモールブラインド」「ビッグブラインド」「ボスブラインド」の3種の小ステージで構成され,ボスブラインドをクリアすることで次のアンティへと進める。
このブラインドについても,ポーカー用語のそれではなくステージの単位なので,細かいことは気にしなくて大丈夫だ。
スモールブラインド,ビッグブラインドは普通に目標スコアをクリアすればいいのだが,ボスブラインドは少し特殊で,さまざまなデバフ効果が用意されている。例を一部挙げると「ハンドがプレイされるたびに,ランダムなカードを2枚捨てる」「すべてのハートカードにデバフがかかる」といったようなもので,通常のブラインドとは異なるゲーム体験となっている。
ボスブラインドがどのようなデバフ効果になるのかは,事前に確認できる。ちなみに,筆者は効果をよく確認せずに「すべてのカードはフェイスカードとして扱われる」ジョーカーを持ったまま「すべてのフェイスカードが裏向きでドローされる」ボスブラインドに挑戦してしまい,全手札が裏向きになってしまうという大惨事になってしまったことがある。そうならないように,ボスブラインドに挑戦するときには前もってデバフ効果を確認しておくことを強くおすすめしたい。
ゲーム性はシンプルながら,強力コンボを決めたときの爽快さがたまらない名作
ゲームの概要については以上となる。ここまで多くの要素を紹介したが,実際にプレイしてみるとかなりシンプルなゲーム性なので,プレイ感はすぐにつかめるだろう。
本作の魅力は,シンプルで軽いゲーム性でありつつも,何度でもプレイしたくなるようなリプレイ性の高さだ。毎回ショップに並ぶカードが異なり,手に入るカードにあわせてデッキを構築する必要があるため,毎回異なるゲーム体験を堪能できる。それでいてゲームそのもののプレイ感はかなり軽く,一度ゲームオーバーになっても「次またやってみよう」とスナック菓子をつまむような感覚でリトライできるので,気づけばのめりこんでしまっている。
強力なコンボを決めたときの爽快さについても見逃せない。ジョーカーを軸としたデッキ構築がうまくハマれば,1回のコンボで倍率が激増して一気にスコアが伸び,アドレナリン全開になれる。ショップに出てくるカードなどのランダム性に左右されるので毎回気持ちよくなれるわけではないが,「もっといいコンボはないか」「よりスコアを伸ばせないか」と考えながらポチポチするのはそれだけで楽しい。ゲームを進めていくと新しいデッキや難度,カードがどんどんアンロックされていくので,それらを試すためにまたランを始めてしまう……,そんな中毒性がある。
最後に気になる値段だが,1700円(税込)とお手頃価格なので,この点においてもおすすめ。「Slay the Spire」などのローグライトが好きな人,もしくはデッキ構築が好きなカードゲーマーはきっと脳汁全開で楽しめると思うので,ぜひ一度プレイしてみてほしい。
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(C)2024, Playstack and LocalThunk, all rights reserved
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