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BCG版「三国志大戦」,「Battle of Three Kingdoms」は今秋リリース予定。初期からトークンの発行も予定
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印刷2023/07/27 13:49

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BCG版「三国志大戦」,「Battle of Three Kingdoms」は今秋リリース予定。初期からトークンの発行も予定

 double jump.tokyoがセガから「三国志大戦」のライセンスを受けて開発中のブロックチェーンゲーム,「Battle of Three Kingdoms」の新情報として,これまで2023年予定とされてきた同作のリリースを今年の秋に行いたいこと(「ゲーム業界の秋は長い」という注釈付き),そして初動からトークンを発行したいと考えていることなどが,同社CEO 上野広伸氏の口から明らかにされた。

「Battle of Three Kingdoms」公式サイト


 これは2023年7月26日,Web3カンファレンス「WebX」内で行われた,「持続可能なブロックチェーンゲームは実現できるか?」というセッションの中で触れられたもの。
 セッションは,YGG Japan/ForN 共同創設者兼CEO 藤原哲哉氏をモデレーターに,ゲーム特化型ブロックチェーン「Oasys」を提供するOasysの代表取締役である松原 亮氏,そして上野氏が登壇。事業者から見た「持続可能性」(サステナブル)と,プレイヤーから見た「持続可能性」(サステナブル)について,それぞれの見解が述べるという立て付けだった。

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松原 亮氏
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 松原氏は,事業者側から見た「持続可能性」について,まず第一に「サービスを終了しないこと」であると語る。同氏がdouble jump.tokyo在籍時にリリースしたブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」は,初動で2万5000ETH(当時で5億円程度)の売り上げを記録し初期開発費用を余裕でまかなえたという。「まずは事業者にとっても原資回収が大事」であり,そのうえでNFTだけではなくトークンの発行や,一般的なソーシャルゲーム同様に他コンテンツとのコラボなどを通じて,長期的に売り上げを立て続ける形が理想的であるという。
 また今後,事業者にとっての「持続可能性」を実現するためには,グローバルに展開するコンテンツでARPU(ユーザー当たりの平均収益)の高い国でいかにプレイヤーにお金を使わせ,そのうえで稼いでもらうことが必要であるとも語る。そしてここで「My Crypto Heroes」を例に,eスポーツ的に戦ってリワードを得る「士」,クエストを回って得たものを売って生活する「農」,ゲーム内でコンテンツを作って売る「工」,ゲーム内のアセット売買で利益を得る「商」といった「士農工商」のエコシステムであれば,「士」は韓国,「農」は東南アジア,「工」は日本といった具合に国や地域によってプレイヤーの傾向が異なり,それぞれに向けた施策が可能であることを示唆した。
 ただ一方,こうした仕組みでヒットしたとしても事業者としての営業利益はそう大きくはなく,トークンの上がり益による経常利益のほうが大きくなるだろうと説明していた。

上野広伸氏
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 藤原氏が上野氏にプレイヤーから見た「持続可能性」について質問をすると,上野氏はNFTの価格は一般的な商品と同様に(運営側が)在庫数を絞るか,期間限定販売にすることで二次流通価格が上がること,そのゲームが遊ばれていれば誰かが所有している(限定品の)NFTを欲しがる人が必ず現れるとコメント。
 そのうえで,冒頭で述べた「Battle of Three Kingdoms」の初動からのトークン発行について,「NFTのトレーディングをメインにしたい」としつつも,「どういうスキームでトークンを発行すればいいのか,最適解は分からない」が,開発中の現段階では「やろうかな」と思っていると語っていた。
 なお,トークンを発行する以上は,トークンの価格が「ずっと上がっていく仕組みにしたい」と考えており,「コンテンツを気に入ってくれる人を確保してNFTの価格を上げつつ,ゲーム内で特別なことをするために使用できるトークンを用意し,そのトークンの価格も上がり続ける構造にしたい。そのトークンを使ってeスポーツ的な施策をやることで,コンテンツ自体も盛り上がり、プレイヤーにも還元できる」という見通しを示していた。

藤原哲哉氏
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 こうした発言を受けた藤原氏は,プイレヤーがブロックチェーンゲームに求めているものが「Play to Earn」に向いていて,投機的にお金を投じたときにどれだけリターンがあるかばかりが求められがちで,つまり「ブロックチェーンゲームにおける持続可能性は,儲け続けられるか否か」に終始しているのではないかと懸念を表明。
 すると上野氏は「きれいごとを言っちゃうと,遊び続けられることを『サステナブル』にしないといけない」と断言した。「IPの弱いコンテンツでも,初動でトークンの価格が上がることで注目を集めるマーケティング効果はある」と認めつつも,「そこに振りすぎるとイメージとしては『サステナブル』が維持できない」と回答。
 これを受けて藤原氏は,「ブロックチェーンゲームが表現できる新しいゲームとしての価値,体験は何があるのか。グラフィックスがリッチなゲームだったら『ゼルダの伝説』や『原神』でいい。プレイヤーが遊び続けるためのモチベーションをどのように作り上げるのか」と問いを重ねた。
 上野氏はその問いに「コンテンツを遊び続けたいと思わせるような仕組みを入れつつ,事業者としては『Play to Earn』的なものも入れないとわざわざブロックチェーンゲームをやる意味はない」と答え,その理由として「トークンの価格を上げ続けられるような機能を持たせ,投資家に入ってもらいたい」と語る。
 これは,「ゲームにAIなりARなり新しい技術を取り入れてパイを奪い合うだけでは意味がない。パイを増やし続けて市場規模を拡大するために投資家に興味を持ってもらう仕組みを作ることが,ゲーム業界においてもブロックチェーンゲームに求められているのではないか」と考えているからだそうだ。
 そしてその前提として「ゲームが面白ければ,愛され続ければ,トークンは上がり続けると思ってもらえる仕組みが必要」と説明。そのうえで,最適解は難しいと前置きをしつつ「プレイヤーにとってはNFTフォーカス,投資家にとってはトークンフォーカスみたいなところで,必ず交わるところがあるのでそういう形にしたい」と展望を語っていた。

 このほかにもいくつかのトピックは議論されていたが,とくにプレイヤー視点での「持続可能性」について,もう少し深い話を聞いてみたかったのが実際のところではある。今回のセッションで語られたのは,「自社のゲームのサービスを持続するためには何が必要か」に終始しており,ブロックチェーンゲームに対してプレイヤーが期待している「持続可能性」については薄い話題に終始したように思う。
 これまで,遊んでいる運営型ゲームのサービスが終わったとき,あるいはそのゲームを提供している会社がなくなったとき,それまで費やしてきたプレイヤーの時間や金銭が「それはそれで思い出だよね」で消化されるのが当たり前だった(それ自体は真実であるし,否定するものではない)。
 ただ,ブロックチェーンゲームの登場時は,そこに何かしらの光明が得られる未来だったように思っていたのだが(複数のゲームでアイテムが使える! みたいなプロモーションも多かったし),現状ではまだそうはなっていない。ブロックチェーンゲームといえど,「サービスが終わったら,再利用しづらいデータが残るだけ」なのだ。そういう問題に対して,もう少し前向きになれる話題を聞きたかったというのが,「持続可能なブロックチェーンゲームは実現できるか?」というセッションのテーマを見たときの正直な気分である。

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