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大会とは違うオフラインゲームイベント「LANパーティー」には何があるのか。「C4 LAN」の総合プロデューサー田原尚展氏に聞く
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印刷2017/10/18 00:00

インタビュー

大会とは違うオフラインゲームイベント「LANパーティー」には何があるのか。「C4 LAN」の総合プロデューサー田原尚展氏に聞く

 日本国内では過去に大小いくつか存在していたものの,2010年台に入ってからは,あまり聞かれなくなってしまったものの1つに,「LANパーティー」がある。

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 それを復活させ,定着させようというのが,「C4 LAN」という試みだ。これまでに2回開催され,2017年12月15日から17日までの3日間,72時間ぶっ通しで行われる第3回の開催が決まったこのタイミングで,総合プロデューサーである田原尚展(たはらなおのぶ)氏に,旧知のBRZRK氏が「なぜいまLANパーティーなのか」を聞くことにした。

 かつてLANパーティーに参加した経験のある人も,第1回第2回のC4 LANに参加した人も,「LANパーティー?」と頭の上に疑問符が浮かんだ人も,一読してもらえればと思う。

C4 LAN公式Webサイト



そもそもLANパーティーとは何なのか


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。さっそくですが,まずは軽く自己紹介をお願いします。

田原尚展氏。C4 LANの「C4」は何の略か聞いたところ,「もともとはConsole and Computer Community Conventionの略だったけど,モバイルとかアナログとかが入ってないのはアレだねということになって,C4という響きだけ残った」という回答が返ってきた。「みんな別にイベントの名前とかどうでもいいっしょ?」(田原氏)
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田原尚展氏:
 田原です。現在はtaharasanというハンドルネームで活動しています。10年ほど前に,uNleashedという名前のプロゲーマーとして国内外で活動していたのですが,ちょうどその頃に「Tokyo Game Night」というLANパーティーイベントをやったりしていました。
 C4 LANでは,総合プロデューサーとして,全体の企画から営業まわり,制作を監督するポジションで関わらせてもらっています。

4Gamer:
 C4 LAN以前の話として,基礎的なところから伺おうと思いますが,「そもそも,LANパーティーとは何なのか」と聞かれたら,どう回答しますか。

田原尚展氏:
 簡単にまとめるなら,「(ハードウェア)持ち込み型のゲームパーティー」というのが,日本語における解釈なのかなと思っています。

4Gamer:
 LANパーティーって,用語としても特殊ですよね。自分のような古いタイプのゲーマーだと,「PCを持ち寄って,LANでつながってゲームをプレイするパーティー」ってすぐイメージできますが,そうでない人も多そうです。

田原尚展氏:
 ただ,そもそもの歴史を紐解いていくと,コンピューター好きという意味におけるハッカー達が集まって開発したりハッキングしたりしていたのが起源のようです。その後,北欧を中心としてメガデモ(※)の文化が興って,凄腕のプログラマーが厳しい制約の中でカッコイイビジュアルエフェクトを作るというのが流行したわけですが,メガデモを見せ合うために皆で集まったのが,今の「LANパーティー」と呼ばれるもののスタートだと言われていますね。

※Megademo。容量1MB(=mega)という容量制限のなかで,コンピューターグラフィックスと音楽からなるデモをどれだけ見栄えよく制作できるかを競う文化,もしくはその制作物そのもの。demoscene(デモシーン)ともいう。

4Gamer:
 もともと,ゲームのイベントというわけではなかったと。

田原尚展氏:
 ええ。ただ,そのメガデモのイベントに,オフラインのLAN接続で遊べるビデオゲームが合流して,「LANパーティー会場の片隅でゲームをする人達」が出てきました。
 その後,ゲームのオンライン対戦が可能になり,「誰が一番強いのか決めようぜ」的なイベントが必要になるわけですが,その場所としてビデオゲームが主目的のLANパーティーが世界各地で生まれたという経緯があるようです。

 当時のネット回線はアナログ接続ですよね?

4Gamer:
 でしたねえ。

田原尚展氏:
 「DOOM 2」や初代「Quake」あたりが全盛の頃,オンラインのネットワーク環境は,今と比べてはるかに貧弱でした。
 そうなると,誰が強いか決めようとなったとき,オンラインでは速度的に難しくなります。オフラインという公平な場でプレイをしなければならないわけで,そこから自然発生的に「ビデオゲームのLANパーティー」が生まれたのではないかと思いますね。
 当時,LANパーティーには参加する意味があり,逆に「LANパーティーでなければできない体験」が強くあったんだろうなと。

4Gamer:
 一説には,欧米の学生寮内や大きな学校の研究室から生まれたという話もありますよね。

田原尚展氏:
 はい。そういった場所に用意されているネットワークを使って遊んだとも言われていますね。おそらくビデオゲームが対戦用プラットフォームとして遊ばれ始めたあたりに,安定したネットワークが欲しい大学生が,そういうところに集まったんでしょう。

4Gamer:
 そこから成長していったのが,LANパーティーイベントの二大巨頭,「DreamHack」と「QuakeCon」でした。

田原尚展氏:
 はい。DreamHackは現在,世界最大のLANパーティーと呼ばれていますが,スウェーデンの片田舎にあるヨンショーピング(Jönköping)という場所で年に2回の開催です。
 実のところDreamHackというイベント自体はビジネスになってフランチャイズ化していて,DreamHackと冠のついたイベントが世界各国で行われているんですが,PCを持ち寄る「BYOC」(Bring Your Own PC)タイプの巨大なLANパーティーは,ヨンショーピングのものだけですね。

4Gamer:
 参加したことはあります?

田原尚展氏:
 僕自身,QuakeConのほうには参加しているんですけど,DreamHackはまだです。なので,この冬に初参加してこようと考えています。

2000年,筆者が日本からBYOCをしに渡米して参加したQuakeCon 2000の会場風景(※筆者撮影)。これで全体の3分の1しか写っていないと言えば,その規模が分かってもらえるだろうか。それにしても,当時の安いデジタルカメラでなので画質がひどい
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4Gamer:
 そうなんですね。
 QuakeConは僕も何度か参加していますが,巨大ですよねあれ。

田原尚展氏:
 BYOCのPCにして3000台規模ですからね。
 もともとはQuakeシリーズの愛好家,いわゆるQuakerが米国のテキサスに集うイベントでしたが,いまは割と自由気ままに遊び倒すイベントになっています。

4Gamer:
 僕個人としては,日本で最初に参加したLANパーティーって,「熱海温泉LAN」なんですが,日本における始祖って確認されているんでしょうか。

田原尚展氏:
 それですよ(笑)。熱海温泉LAN。

4Gamer:
 うわ,そうだったのか。

田原尚展氏:
 お断りしておくと,僕はその頃まだ小中学生だったので,参加できていません。なので,「後から調べて分かった限り」の話になるんですが,クラン魔人30'sさんという方の開催していた熱海温泉LANが,「BYOCで多人数が集まった」という意味において,日本最古のLANパーティーになると思います。
 和室に浴衣着た人間が揃って,ブラウン管とPCを並べて対戦しているってのが本当に最高で。

4Gamer:
 初開催のときにお世話になった旅館が,アンペア不足でブレーカーが落ちまくってたんですよ。で,「来年は強化しますから!」って言われて次の年行ったら,確かに強化されていたんですが,PCも進化していて,結果,開始早々にやっぱりブレーカーが落ちたっていう。変な楽しみ方ができるLANパーティーになってましたね。
 そうか,あれが最初だったのか。

田原尚展氏:
 いい話だなあ(笑)。


いかにしてLANパーティーは国内で復活したか


4Gamer:
 ところで,自己紹介いただいたときに出てきたTokyo Game Night,これも僕は参加していましたが,Tokyo Game NightからC4 LANまではどうつながっていくんですか。

田原尚展氏:
 先ほど簡単にお話ししましたが,僕は2007年から2008年にかけて「Quake 4」のプロゲーマーをやっていて,QuakeConにも選手として2007年に参加しています。(プロ活動終了後の)2009年,2010年にも「QUAKE LIVE」で出場してるんですが,毎回,熱気に当てられた状態で帰国するわけですよ。
 でも,ちょうどそのゼロ年代後半頃には,LANパーティーのムーブメントが,国内ではほとんど消えてしまっていました。

 で,そのときに出会ったのが,最終的にTokyo Game Nightのコアになるメンバー達で,彼らと「日本のLANパーティーがなくなっちゃったから立ち上げない?」という話になって。

4Gamer:
 それはいつ頃の話ですか。

Tokyo Game Night初期の写真。Tokyo Game Night自体は40数回を数える,息の長いイベントになった
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田原尚展氏:
 2008年の8月が第1回開催なので,2008年の春頃ですね,出会ったのは。
 Tokyo Game Night自体は,阿佐ヶ谷にある小さなライブトークバーを借り切って,一晩徹夜で遊ぶだけのイベントなんですが,最大でもPCは22台しか置けないので,1つのゲームコミュニティだけで塞がってしまう。これだと,QuakeConのようなLANパーティー体験とはちょっと違うんですよね。
 イベント自体は楽しかったんですが,大きく広がってはいかない。そのうちに,2014年5月の開催をもってTokyo Game Nightも終了してしまって,「集まって遊べる場所がないのは寂しいな」って,漠然と感じていたんですよ。

4Gamer:
 はい。

田原尚展氏:
 そのとき,出会ったのがニチカレさんという会社です。
 ニチカレさんは滋賀にある会社で,主な事業は業務請負なんですが,IT事業部もあるんですね。

 僕は社員じゃないので,あくまでもニチカレさんから聞いた話をお伝えしますが,そこにいるゲーム好きの社員さんが,「ゲーム大会を運営するサービスというのが海外で流行しつつあるから,日本でもe-Sports関連で同じようなことをやりたい」と言って,「CyAC」(さいあっく)というサービスを立ち上げたという経緯があります。それがだいたい12年くらい前のことです。

4Gamer:
 田原さんはいつ頃からCyACというかニチカレとの付き合いがあるんですか。

田原尚展氏:
 プロゲーマーとして活動していた頃,スポンサーになっていただいていたのが最初ですね。
 引退後は少し疎遠になっていたんですが,数年前にCyACがESWCのフランス大会へ「FIFA」の選手を送り込むという話になって,「現地で選手が最終調整する合宿を行うにあたって,コーディネートなどの相談に乗ってもらえないか」というお話をいただいたことで,ご縁が復活したという経緯になります。

4Gamer:
 ほうほう。

田原尚展氏:
 で,ですね,それを契機として,僕もフリーですから,ニチカレさんの別事業についても,いろいろと相談に乗らせていただいてたんですよ。
 その中でも重いテーマになったのが「CyAC事業をどうするか」で。

4Gamer:
 どう,というと?

田原尚展氏:
 ものすごく簡単に言えば,「12年間やってきたけれども,あまり儲かってない。経営陣としては撤退も含めて考えなければいけない」という感じです。
 そこで,「ただ『止める』よりも,何かやってみないか」という話になったということです。

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4Gamer:
 それがC4 LANの芽ですか。

田原尚展氏:
 そうですね。ただ,松井さん(※グルーブシンク代表取締役である松井 悠氏のこと)の「Red Bull 5G」のような,格好いいイベントは作れないし,運営もできない。ならCyACの強みは何だろう? それを活かして何ができるだろう? というところから,企画をスタートさせています。

4Gamer:
 それで,CyACの強みというのは何だったんでしょう。

田原尚展氏:
 まず,12年にわたって,ゲームイベントの運営やプロモーションをやっているというのがあります。

4Gamer:
 PCだけでなく家庭用ゲーム機の大会も運営していますよね。

田原尚展氏:
 はい。で,ニチカレの社長さんも,自ら「Team Fortress 2」をひたすらプレイするような人なんですけど,この人がまたゲーマーと会うのが好きで。ジャンルやプラットフォーム関係なしに,会える人には会いに行って食事をしたりと,とにかくアグレッシブなんですよ。
 組織のトップのような人が進んでゲーマーと会いたがって,「何かできない?」って聞いて回っています。

4Gamer:
 僕も何度かお会いする機会がありましたが,ひたすら面白い人ですよね。

田原尚展氏:
 今は「東京ゲーミングシェアハウス」っていうのを2棟建てて,「満室にするぞ!」って社長が営業かけてますからね(笑)。
 会社の別事業としてビルやマンションの管理,さらには不動産もやっていて,全部通じているからできることなんですが。

4Gamer:
 事業として色々やっていることが,奇跡的にLANパーティー運営向きだと。

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田原尚展氏:
 ええ。
 LANパーティーを作るのってひたすら肉体労働とかなんですけど,もともとニチカレのコアビジネスは業務請負ですからそういうのに慣れていますし,社長がああいう人なので,複数の異なるコミュニティに対して横串を通せる。しかも,会社として運送業とか倉庫業とかもやってますから,物は運べるし機材は保管できる。

 あと,総務部がやたらと強いんですよ。僕は「デルタフォース」って勝手に呼んでいるんですけど,全員がフォークリフトとかの特殊車両を運転できるという謎の人達で,法律的なコンプライアンスのクリアランスからC4 LANの受付まで,すべて総務部だけでまわせてしまう(笑)。

4Gamer:
 すごすぎる(笑)。

田原尚展氏:
 オフラインのイベントって,やるのにお金も手間もかかるわけですが,そこを楽にする仕組みができないか,ということを考えたとき,CyACとしては,デバイスや場所,人手を貸すやり方が向いているということが分かったわけです。
 それを突き詰めていくと,ショウイベントでも大会でもなく,オフ会の場にして,やってきたゲーマーにやりたいことをやってもらえばいいんじゃないかという話になって。

4Gamer:
 それこそ田原さんが体験してきたQuakeConとかと同じ方向性ですか。

田原尚展氏:
 完全に同じではないですけどね。とはいえ,「席を買ってもらう」という点で,QuakeConなどの海外LANパーティーをモチーフにしたとは言えると思います。
 ただ,そういう方向性が決まってからは早かったですよ。話がまとまったのが2016年の1月とか2月とかの話で,第1回の開催が10月ですから。

4Gamer:
 かなりの駆け足ですね。ちなみに1回めの参加者ってどんな感じでした?

第1回,第2回の会場。ヒューリックホール浅草橋を借りて行われてた
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田原尚展氏:
 席数150に対して埋まったのは132。ユニーク人数は324人でした。
 ただ,やってみるととにかく大変でしたね。イベントを初めて立ち上げるという経験をしてみると分かってもらえるんですが,初回って,告知の素材とかが存在しないんですよ。

4Gamer:
 ああ,確かに。

田原尚展氏:
 「この日にこれをやります」っていう情報と,手弁当で作ったロゴくらいしか見せるものがない。それで「参加費は1万円でございます」なわけです。人が来るかと言えば,来るわけがありません。

4Gamer:
 実際,どうしたんですか。

田原尚展氏:
 どうもこうもなくて,全然売れません(笑)。
 そこで,僕とCyACのメンバーだけでなく,社長まで色々なコミュニティの人に直接,「こういうイベントをやるので来ませんか?」って営業活動みたいなことをしました。

4Gamer:
 インディーズのバンドみたいですね。相手がゲーマーというのは珍しいですが。

田原尚展氏:
 文化としてのLANパーティーが国内で途絶えてしまっていますから,若い子は当然「LANパーティーって何なんですか?」とくるわけです。「お金を払って参加して何ができるんですか?」と。
 そういう疑問に対して回答しつつ,ひとりひとり口説くみたいな形で。本当はオンラインで説明できればいいんですけど,なかなかそういうのは難しいんですよ。

4Gamer:
 それで営業の結果は?

田原尚展氏:
 開催2週間前の時点で売れたチケットは20枚くらい(笑)。リマインドを皆にかけたら「いや買うから大丈夫。後でね」って回答がくるわけです。「話に乗ってくれたスポンサーさんに土下座するしかないか」まで考え始めるタイミングですよ,正直。

4Gamer:
 あははは,怖すぎる。

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田原尚展氏:
 これ本当にヤバイ状態だなって焦っていたら突然深夜に売れだして,そこから一気に100席くらい売れだした。本当に「後で」買ってくれたんですよ。
 ただ,あまりにも直前の話だったので,チケットが売れた喜びを感じることもなくバタバタして,気付いたら1回めが終わっていましたね。

 後から分かったんですが,最初に買ってくれていた約20人は,Tokyo Game Nightに参加していて,「LANパーティー行くのは大変だけど,行けば楽しめる」って理解のある人だったんです。それ以外の人達は,僕らの口説きが“効いて”来場してくださった感じですね。

4Gamer:
 2回めはどうだったんでしょう。

田原尚展氏:
 幸いにして,第1回に来てくださった方々から口コミで広がって,初めての人達も多数来場してくれました。

4Gamer:
 当然,来場者も増えたわけですよね。

田原尚展氏:
 そうですね。開催時期の告知半年前くらいにはしていましたが,チケットの発売は準備が出来次第開始しようという感じで2か月前にスタートしたら,50時間くらいで全部売れてしまいました。第1回の参加者の中には「次回も行くよ!」って言ってくれてたのに参加してもらえなくて,本当に申し訳ないなと深く反省しています。

 ちなみに第1回と第2回で異なるタグラインがありまして,1回めは「LANパーティー ヒーロー」でした。

4Gamer:
 その心は?

田原尚展氏:
 LANパーティーにマナーが悪い人が参加すると問題が発生してイベントができなくなってしまうから,各々がヒーローになって欲しいっていう思いがありました。
 なので,開会式でも宣言しているんですが,ヒーローにあるまじき行為をしたら速攻で出禁にしますよと。

4Gamer:
 まぁ当然ですよね。

インタビューのとき,田原氏は第2回の公式Tシャツを着ていた
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田原尚展氏:
 で,第2回は「トライブ」(tribe。仲間,集団)がタグラインになっているんですよ。第1回は個人にフォーカスしていたのに対して,コミュニティ席というか,グループ席を買えるようにしたってことが意味としてつながっています。

4Gamer:
 なるほど。
 3回めもグループ席がありますが,今回はどういうタグラインに?

田原尚展氏:
 いくつか候補はあるんですけど,もう少しお待ちください。

4Gamer:
 「ブリゲード」とかになるんですかね?

田原尚展氏:
 「ブリゲード」(brigade。集団,旅団)なのか「バタリオン」(Battalion。大軍,大隊)なのか,お楽しみにという感じですね。

4Gamer:
 ただ,これまでの説明を聞いても,なんか得体の知れない人達が運営をしている感はありますよね,失礼ながら。

田原尚展氏:
 そうですねぇ。お金もかかるし,得体は知れないし,結局何ができるか分からない。
 ただ,参加したからこそ「ぶっ飛んだ体験」を得られるというのはあります。

4Gamer:
 不安に思っている人達を安心させるデータ的なものはないですかね。

田原尚展氏:
 明るい話としては,第1回に参加した人はLANパーティーという言葉を知っているアラサーの人が多かったんですが,第2回は明らかに10代――と言ってもイベントのルール上,18歳以上ですが――や20代の人が増えました。
 確かに外から見れば怪しい集団ですけど,それは中で楽しめる空間を作れているからじゃないでしょうかね。


C4 LANの第3回は12月に開催。参加したいときに注意すべきこととは


4Gamer:
 さて,チケットの販売が始まった第3回ですが,今回の会場は第1回,第2回から変わるんですよね?

田原尚展氏:
 会場自体が3倍くらいになるので,参加者数もそれくらいになってくれるといいなと。大変だとは思いますが。
 ……もともと来てくれていた人達は来てくれるという期待はあり,彼ら彼女らはグループ席で入ってくれるんだろうなあとも考えていますが,それとは別に,同じ数の個人参加者を集めないといけない,というのはあります。

4Gamer:
 BYOCってハードルが高いですからね。しかも参加費も別で。そこはハードルになるだろうとは思います。

田原尚展氏:
 だからそのあたりも含めてガシガシと営業活動をすることになるのではないかと。

4Gamer:
 ちなみに場所はどちらになるんでしょう。

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田原尚展氏:
 大田区にある東京流通センターです。天王洲アイルの隣ですね。

4Gamer:
 となると,これまでの浅草橋と比べると,ちょっと行きにくくなる感じですね。

田原尚展氏:
 前回までの会場は秋葉原が近くて,交通の便はよかったんですが,今回は若干遠くなるハードルはあります。
 しかも,日程は12月の15〜17日なんですが,15日が普段の金曜日なんですよ。なので,社会人の方は有給を取るか夜から参加かということになるでしょうから,そこもハードルかな。

4Gamer:
 難度が上がってきてますね。

田原尚展氏:
 もともとハードルが高いイベントなのに,開催日のハードルも設けてしまって,それで参加人数が増えるかという難しいところばかりですが「みんなの参加を信じてるよ! 頼むよ!」というところです(笑)。

4Gamer:
 欧米では乗用車の所有率が高いこともあり,BYOCにそこまで手間はかからない印象ですが,日本国内だとそうもいきませんよね。浅草橋で開催していたときは駅前ということで電車での持ち込みも一応可能でしたが,今回はどうなんでしょう?

過去の開催ではPCではなくパチスロのマシンを持ち込んでいる人もいた
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田原尚展氏:
 駅からは非常に近いです。というか事実上,(最寄りである東京モノレールの流通センター駅は)東京流通センターのためだけの駅なので,階段の上り下りさえクリアできれば持ち込みは問題ないと考えています。近くに大きな立体駐車場もありますから,コミュニティ内で相乗りとか,レンタカーを使って来るというのもお勧めします。
 PCを持ち運ぶってのは結構ハードルが高く見えるかもしれませんが,一度やってみると意外とイケると分かってもらえると思います。なので,ぜひその一歩めを踏み出してほしいですね。


 一応,公式WebサイトでもPCを運搬する方法のガイドは出しているので,そちらを参照してもらえれば助けにはなるかなと思います。あとはC4 LANのDiscordチャンネルがありますから,そちらで先達に聞いてみるのも手でしょう。
 もちろん,スマートな解決策としては,デスクトップPCでなく,ゲーマー向けノートPCを持ち込んでいただくというのもアリだと思います。

4Gamer:
 ノートPCはこういうとき本当に楽ですよね……。
 ところで郵送は受け付けてます?

田原尚展氏:
 はい。そのあたりは開催が近くなったら公式サイトに詳細な案内を載せますので,どうしても持ち込みが大変だという場合は郵送も選択肢に入れてみてください。

4Gamer:
 中には郵送も厳しいという人もいると思いますが,そういった方々向けとしてPCレンタルというプランもありますよね?

PCメーカーやデバイスメーカーもブース出展している
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田原尚展氏:
 ええ。レンタルも「ディスプレイだけ」「PCとディスプレイのセット」など,いろいろ用意しますので,詳細はやはり公式サイトを見ていただければと思います。
 各社さんのPCを試してもらえますので,気に入ったらぜひ購入してください。これは本当に!

スポンサー企業はPCやデバイスを貸し出してくれるだけでなく,休憩スペースや足湯を用意してくれたりもする
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4Gamer:
 目がマジだ(笑)。
 ところで,PCをレンタルするとして,そこにゲームはインストールされていないですよね? そこはどうすればいいんでしょう。

田原尚展氏:
 そこは第1回から参加者の皆さんに繰り返しお願いしているんですけれども,「PCをレンタルする場合は,自分でゲーム持ってきてね」ということになります。
 会場で一斉にダウンロードを始めてしまうと回線を圧迫してしまいますし,そもそもその間は何もできない。二晩しかないイベントなので,最大限楽しむためにも,自分でモバイルストレージなどに入れて持ってきてほしいです。いまのSteamには正規にゲームデータをインポートする機能もありますし。

 最悪の場合,「誰か○○のゲームプログラムデータありません?」って聞けば助けてくれる率は高いです。もちろん海賊版の共有という意味ではなく,ファイルをコピーしてからSteamで認証する前提ですが。
 前回も前々回も,参加者同士で助け合う互助作用が発生しているので,そういう文化は大切にしていきたいなと。

4Gamer:
 あと気になるのは宿泊などです。とくに,地方から参加した人が宿をどうするかというのはありますよね。

田原尚展氏:
 ここは察してほしいんですが,「体調面も考慮して,外部宿泊施設のご利用をお勧めしています」というのが公式の立場です。
 会場から徒歩15分くらいのところに入浴できる施設などもありますので,ゲームで疲れたら大きなお風呂でリフレッシュというのもいいかもしれません。

4Gamer:
 C4 LANではBYOCなしに参加できるチケットもありますが,そういう人達が楽しめる工夫はありますか。

田原尚展氏:
 来場チケットを購入する人は,BYOCで参加する人に会うため,というのが大多数ですね。ただ,第3回はそういう人達も楽しめるよう,いろいろな方々にお声がけをして,企画を練っています。

4Gamer:
 おお,それは素晴らしいですね。

田原尚展氏:
 とくに目的がなくても「どんな雰囲気なんだろ?」という感じで,ふらっと見に来てもらえるようにしたいですね。

4Gamer:
 たとえばPCの時間貸しというのはありますか。

田原尚展氏:
 台数限定ですけども,「誰でも触れる体験用PC」は用意します。
 ただ,体験としては間違いなく,席を取って遊びに来たほうが楽しいので,できれば席を取ってほしいですね。「騙されたと思って取ってください」というのが我々からのお願いです。で,騙されたら「騙された!」って僕に文句言いに来てください。謝りますから。
 とにかく来てもらって「なんか変だぞこのイベント!?」って感じてもらえればと。

4Gamer:
 規模が大きくなると気になってくるのがセキュリティ面ですが,今回,会場が大きくなることで,そのあたりの心配は増しませんか。

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田原尚展氏:
 そこはまさにそのとおりです。これまでは性善説に頼っているところがありましたが,来場者の数が増えればそうも言ってられなくなります。
 そこでまたニチカレの出番なのですが,ニチカレさんは警備や管理で一日の長がありますから,今回は選抜して警備クルーや清掃クルーの部隊を発足させ,安全面の強化に務めることにしました。

 海外のLANパーティーでも盗難は根の深い問題ですが,我々としては,問題を未然に防ぐことを第一としてセキュリティの強化を図ります。被害に遭ってしまうと体験が最悪になってしまいますしね。

4Gamer:
 それから,参加するならこれは必要だというのがあれば教えてください。

田原尚展氏:
 そうですねぇ,PCとデバイス関連,あとは“お泊りセット”さえあれば十分かなと思います。それでも不安だった場合はC4 LANのDiscordで聞いてもらえれば大丈夫というか,そういうのができる雰囲気ですので,匿名でもなんでもいいので質問してください。
 僕が答えることもありますし,気付いた参加者の方が答えてくれることもあります。何にも恐れる必要はないですよ!

4Gamer:
 ところで,座席数ではなく,来場者数はどれくらいを見込んでいますか?

田原尚展氏:
 公式の目標は750人ですが,個人的にはもっといきたいなと。

4Gamer:
 そこに向けた施策は何か考えています?

田原尚展氏:
 もちろん,新しいコミュニティの参加を呼びかけていきますが,同時に,これまで参加してくれていた人達が,友達を誘って行きたくなるような形にもしたいと考えています。

4Gamer:
 具体的にはどんなアイデアがありますか。

田原尚展氏:
 もともと,参加者が企画するイベントの持ち込みを受け付けています。メールベースの窓口があって,そこに相談してもらう格好ですね。提案に対して実行委員会で協力できるかできないかの話し合いを行うことになります。
 これまで基本的にはステージを使う感じで,そのため,すべての提案にお応えできるわけではなかったのですが,今回は,ステージ枠が空いていなければ,それ以外の場所で支援できないかも検討したいと思います。

4Gamer:
 なので,参加経験のある人は,友達を誘って持ち込みイベントやってみましょう,ということですね。
 それにしても,キャパシティが増えるとオペレーション自体も難しくなりますよね?

田原尚展氏:
 それはもう大変ですよ。これまでの2回でもスタッフが大変な目にあってますけど,次回はキャパシティ増えるし,制作も増える。その割にスタッフの数は増えない(笑)。

4Gamer:
 ただ,「場は用意するから自由に使ってくれ」ってのは良いですね。

田原尚展氏:
 そうそう。結局のところ,誰に来てほしいか,どういう層にフォーカスするかと言われてもですね,もちろん我々として「次はこんな人達が集まるんじゃないですか」という推測はできますけど,逆に言うとそこまでなんですよ。我々はあくまでも場所を提供する側であって,そこで行われることへの介入を始めると,催しとして一気に面白くなくなってしまいます。

 自分がこれまで体験して,開催してきたLANパーティーと同じく,よくも悪くも「投げっぱなし」な,欧米スタイルは第3回でも守ります。そこでどう楽しむかは,皆さんで考えるから面白いんです。

4Gamer:
 最後に,C4 LANにおける今後の目標を聞かせてください。

田原尚展氏:
 僕はQuakeConを現地で体験していて,3000台ものPCが集まっている空間の「アホさ」を経験しているわけですよ。今C4 LANに来てくれている参加者の方々には感謝しかありませんが,その人達にも,1000席とか3000席とかいう規模から生み出される「アホな空間」をいずれ味わってほしいと考えています。
 あと,これは生意気かもしれませんが,1000席規模になってようやく「俺は日本でLANパーティーを開催した」って胸を張って言えるようになるのかな,というのはあります。もちろん超えなければならないハードルは笑えるほど高いんですが,現時点では1000席が1つの目標です。

4Gamer:
 ありがとうございました。

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C4 LAN公式Webサイト

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