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[CEDEC+KYUSHU]ポールトゥウィンによるセッション「ゲーム業界の隠れた仕事人〜ゲームデバッガーという生き方〜」をレポート
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印刷2023/12/15 16:16

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[CEDEC+KYUSHU]ポールトゥウィンによるセッション「ゲーム業界の隠れた仕事人〜ゲームデバッガーという生き方〜」をレポート

 2023年11月25日に福岡県の九州産業大学で開催されたゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC+KYUSHU 2023」にて行われた,「ゲーム業界の隠れた仕事人〜ゲームデバッガーという生き方〜」と題されたセッションの聴講レポートをお届けしよう。

 ゲームのデバッグ業務などを手がけるポールトゥウィンの龍 益旺氏大村 拓氏服部 賢治氏堀米 智也氏をスピーカーに,デバッガーはどのようにしてバグを見つけ,報告し,ゲームの品質向上に貢献しているのか,1日の具体的な流れをとおして紹介された。

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 そもそもポールトゥウィンとはどういう会社なのかは,4Gamerの読者には説明不要だろう。1994年に設立された日本初のデバッグアウトソーシング事業の会社で,コンシューマゲームやモバイルコンテンツなどの品質向上をサポートしている。2022年2月に,時代のニーズに合わせたサービス領域の進化を行うべく,Webアプリやモバイルアプリのソフトウェアテストを行うQaaS,Eコマースの不正対策やカスタマー向けのネットサポートを展開するPITCREWと統合。最先端のITサービスに対応したソリューションサービスを展開している。

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 また,同社は業務内容の啓発活動にも積極的で,国内外に多くの拠点を構えるPTW Internationalの日本法人であるPTWジャパン株式会社と合同出展した東京ゲームショウへの“休足処”の設置や,台北で開催されたゲームショウなどの海外イベントでもブースの出展を行なっている。今回のCEDEC+KYUSHU 2023での講演も,その一環と言えるだろう。

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[2023/09/30 10:00]
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[2023/02/04 15:10]

 では,デバッガーとは何をしている人たちなのか……というあたりも,4Gamerの読者には説明はいらないかもしれないし,実際にデバッガーとしてゲーム業界に貢献している人も少なくはなさそうだが,簡単にまとめてみる。

 デバッガーはゲーム内で発生する不具合――いわゆるバグを発見し,報告を行う仕事だ。プレイヤーの遊び方,考え方は十人十色。思いもよらない行動や動作を試す人もたくさんいる。通常の挙動や分岐点のチェックだけではなく,開発者が想定していない操作をしたときに発生する不具合の可能性も潰していくデバッガーは,それ専門の職人と言えるポジションだ。

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 それでは,実際にデバッガーとは日々どういう作業を行っているのだろうか。本セッションでは,「ゲームテスターの1日」という,その名のとおりデバッガー(社員)の1日のスケジュールを追いかけたムービーが紹介された。

 ムービーの主人公は,10:00から19:00までのフルタイムで働くデバッガーだ。朝7:00に起床し,だいたい9:30ごろに出社し,ロッカーに私物をすべて預けてから作業ルームへと入り業務を開始する。ロッカーに私物を預けるのは,もちろん発表前,発売前のゲームに関する情報の漏洩を防止するためで,そういった機密情報を取り扱う仕事であればどこも変わらない。

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 デバッグ作業は,基本的にはチームリーダーが作成したチェックリストをもとに実行する。といっても指示されたままにチェックをしていても,何も見つからないことがある。ほかのチェックリストにあった指示を応用したり,正常に動くことが確認できたボタンにプラスして“それ以外で何が起きるか”を試してみるなど,さらに個人で複数の操作や行動を掛け合わせながら動作を確認していく。

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 例えばオープンワールドのゲームであれば,そんなところは歩かないだろう,そこでそんな行動を取らないだろうということを,あえてさまざまな操作や動きを交えながら試していくわけだが,ゲームの進行上,限られた場面でしか出ない場所もあるので,そういった限定された場面ではじっくりとチェックするのが難しいそうだ。

 また,マルチプラットフォームが当たり前となった今は,同じゲームでもプラットフォーム別や,主にPC版であればコントローラとキーボード+マウスでの操作など,1つのゲームをさまざまな機材や操作方法でチェックするのも普通のこととなっている。

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 14:00から15:00まで,1時間の昼休憩をとったのち,業務を再開。案件が切り替わる場合もあるが,基本的には1日を通して一つのゲームのデバッグ作業に従事する。有名なタイトルのデバッグ業務が始まると,正直目移りすることもあるそうだが,任されたタイトルを楽しみながら仕事をすることが1日の基本となるそうだ。

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 定時の19:00を迎え,業務が終了となる。チェックした項目の報告や確認できずに保留した箇所などの詳細をメモとして残す。仕事の内容や求められる作業の精度的にも,決まった時間に集中して作業を行っているということだろう。仕事の後は好きなお酒やスイーツを買って帰り,夕食の後にそれらをたしなみながらゲームを遊ぶまでが今回ムービーで取り上げられたデバッガーの1日だ。仕事でたっぷりゲームに触れた後,家で自分の好きなゲームを楽しむ。当然ながらゲームが大好きなのだとか。

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 ムービーの中では,どのようにデバッガーという仕事を知り,なぜその道に進んだのか,デバッガーとして働くうえで感じることや気をつけるべきことなども紹介された。まずは,なぜその道に進んだのか。これは「ゲームってどのように作られるのだろう」という疑問から,いろいろと調べていくうちにデバッグとしてのゲーム開発への関わり方を知り,興味を持って応募したという話が紹介された。

 デバッグ作業をしているときに感じられるやりがいは,少し頭をひねって実行した操作やコマンドでバグを見つけ出したときとのこと。ありふれたバグであれば「あ,またこれか」くらいだが,自分でさまざまな組み合わせを試してバグを見つけたときに得られる達成感はすごく大きいという。

 また,デバッグ作業で難しいものは,やりこんでいるゲームや好きなジャンルのゲームを担当することだという。ちょっとした違和感を「これは当たり前にあることだよね」と変に納得してしまいがちなので,慣れていない人の視点に立つことは大変なのだそうだ。

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 デバッガーに向いている人については,「ゲーム内で当たり前にできることに疑問を持てる人」が挙げられた。実際,一プレイヤーとしてゲームをプレイしていたときに気になったことをデバッグ作業の際に試してみるということもあるそうだ。そしてそれが,実際にバグの発見にもつながることがある。

 このように,ゲームが好きだからこそ,そのゲームをより良くしようという考えで検証できる人が,仕事としてゲームをプレイする際にも熱心に取り組めるのではないかと語られた。

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「CEDEC+KYUSHU 2023」公式サイト


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