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ついにPS5で発売される「Sea of Thieves」。“もっともフレンドリーなオンラインゲーム”を生み出したクリエイティブディレクターにインタビュー
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印刷2024/03/11 18:30

インタビュー

ついにPS5で発売される「Sea of Thieves」。“もっともフレンドリーなオンラインゲーム”を生み出したクリエイティブディレクターにインタビュー

 Microsoft Game Studiosが掲げる新たな試作として,2024年4月30日にPlayStation 5プラットフォーム向けにリリースされるタイトルが,1人称視点型のパーティ型アクションアドベンチャー「Sea of Thieves」だ。

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 「Sea of Thieves」では,プレイヤーが何もない状態で漂流しているところから始まり,シェアワールドで仲間とともに船を操り,宝探しや交易を楽しんだり,海戦中に大砲を撃ち込まれて穴ができた船体を補強したり,単に仲間とパーティをして騒いだりするというオンライン専用ゲームである。
 2018年3月にXbox OneおよびPC向けにローンチされた当初は,2日間で100万アカウントの獲得に成功し,2020年6月には330万アカウントがアナウンスされた。それ以降,コミュニティ目線の地道なアップデートは続けられ,2022年6月には3000万アカウントに達したことが発表されるなど,Xboxプラットフォームでは根強い人気を獲得してきた作品だ。

Rareのクリエイティブディレクターであるマイク・チャップマン氏。「Sea of Thieves」の生みの親の一人として,現在もその舵取りに大きく関わっている
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 その「Sea of Thieves」を開発したのは,ベテランゲーマーにとって馴染み深いデベロッパであるイギリスのRareだ。40年近く前の1985年に設立された老舗であり,スーパーファミコンの時代から任天堂とのパートナーシップでさまざまなゲームをリリース。「スーパードンキーコング」(1994年)や「ゴールデンアイ 007」(1997年),「バンジョーとカズーイの大冒険」(1998年),「パーフェクトダーク」(2000年),「スターフォックスアドベンチャー」(2002年)といった名作を手掛けてきた。
 2002年にMicrosoftに買収されて以降も,「あつまれ!ピニャータ」(2006年)や「Kinect Sports」(2010年),「Killer Instinct」(2013年)といった作品をリリースしてきたが,ちょうどそのころ,のちに「Sea of Thieves」となる企画のために入社したというのが,クリエイティブディレクターのマイク・チャップマン氏だ。



6年のサービスを経て,自信をもっておススメできるゲームに仕上がった「Sea of Thieves」


4Gamer:
 チャップマンさんがRareで活動するきっかけになった経緯を教えてください。

チャップマン氏:
 私が入社したのは,今から12年ほど前でしょうか。ちょうど「Kinect Sports」がリリースされたころでしたね。もともとRareのゲームは,1人のゲーマーとして子供のときから慣れ親しんでおり,私の地元であることもあってRareという開発チームは憧れでした。大人になってゲーム業界に足を踏み入れたことで,Rareに参加するというチャンスが舞い込んできたのです。

4Gamer:
 チャップマンさんが入社したときには,すでに「Sea of Thieves」のプロジェクトは始動していたのでしょうか。

チャップマン氏:
 いえ,当時Rareが新しいプロジェクトのために,私を含めて今の「Sea of Thieves」のコアチームとなる人材を受け入れたころは,まだ何もなくて「オンラインゲーム」になることが想定されている状況でした。「あつまれ!ピニャータ」や「Kinect Sports」を開発する中で,そのオンラインゲームが「Rare Next」と呼ばれて,わが社の新しい方向性だけが決まっていたのです。

4Gamer:
 つまり,チャップマンさんらが主導して「Sea of Thieves」の開発が進められていったのですか。

チャップマン氏:
 そうです。当初のアイデアとしては“シェアワールド”になること,そしてプレイヤーがストーリーを作り出していくゲームであることが起点になりました。ただ,そのときはまだ海賊がテーマになるなんて決まっていませんでしたね。
 その後しばらくしてからプロトタイプになる企画を作っていく中で,オープンワールドの世界で自由に活動したいという欲求を,海賊という誰もが共有しているファンタジーに包み込む。そうすることで,お仕着せられるのではない,自分なりのストーリーが楽しめるだろうとして企画ができあがっていったのです。
 私にとって,もう10年以上も携わっているライフプロジェクトであり,自分の子供のようなものでもあります。

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4Gamer:
 そうしてできあがった「Sea of Thieves」は,Xbox Game Studiosが2017年にローンチした「Xbox Game Pass」の“ファースト・ファーストパーティ・タイトル”(自社作品の第1作)としてライブラリー入りすることになったわけですが,それも当初から決まっていたのですか。

チャップマン氏:
 まったくの偶然だったと言えます。開発が進んでいく中で,「Sea of Thieves」はプレイしていて楽しいだけでなく,人がプレイしているのを見ても面白いゲームになった手ごたえを感じていました。
 シェアワールドにおける自由度の高いゲームメカニックというコンセプトとしては,「Rust」(2013年)や「DayZ」(2018年/アルファ版は2013年にローンチ開始)といったゲームにインスパイアされましたが,家庭用ゲーム機向けの一般的なアイデアではありませんでした。
 その意味で,こうしたゲームプレイを持つタイトルが家庭用ゲーム機でも受け入れられる余地はあり,サブスクリプションを購入した人に1人でも多く「Sea of Thieves」をダウンロードしてもらうことが,Game Passそのものの未来を占うことでもあったのです。

4Gamer:
 ローンチされたばかりのとき,プレイヤーの評価はどのようなものだったでしょうか。

チャップマン氏:
 高評価をいただけたと思います。ただ,いわゆる“グラインディング”と呼ばれるレベル上げの概念のないプログレッションですから,何を目的にプレイして良いのか分からなかったことと,コンテンツの少なさを指摘されました。
 しかし,我々も徐々にペースを掴んで驚くほどのコンテンツを送り出し,コミュニティから得たフィードバックをしっかりとフォロー。Game Passのサブスクライバーが増加していくに従ってライブサービスとして根付いていったのは間違いありません。
 6年かけて,ようやく我々も自信を持っておススメできるゲームに仕上がったと思いますので,今ほど「Sea of Thieves」を始めるのに適した時期はないと思います。

4Gamer:
 Microsoft Game StudiosからPlayStation 5向けにリリースしたいという要請があったときはどのような印象でしたか。

チャップマン氏:
 その話があったのは昨年(2023年)のことで,年末にはすでに稼働できるものがありました。もともと「Sea of Thieves」は,XboxとMicrosoft Store向けにオファーされていましたが,2020年にはSteamでも販売しており,そうしたほかのプラットフォームへ移植すること自体は,我々に大きな障害はなかったです。
 我々にとっては39年の歴史で初めてPlayStationプラットフォーム向けにリリースするタイトルでもありますから,我々は非常に真剣に準備を進めると同時に,そのことについて非常にエキサイティングに感じています。

4Gamer:
 今後すべてのコンテンツが同時にリリースされるのでしょうか?

チャップマン氏:
 シェアワールド型のゲームですのでそうなります。PlayStationプラットフォームの皆さんは「シーズン11」からプレイを開始しますが,それまでのコンテンツはすでにアンロックされている状態ですから,コンテンツが少ないと感じることはないでしょう。
 新しいコミュニティをサポートできることに感謝していますし,クロスプレイおよびクロスプログレッションに対応させていることで,Xbox,PC,そしてPlayStationプラットフォームのゲーマーの皆さんが一緒にプレイできることにも興奮を覚えます。
 異なるプラットフォームのゲーマーが,1つの船に乗って航海するなんて感動的じゃないですか。そうやって改めてPlayStation向けにローンチすることを考えると,私にとって何か非常にシュールな体験にさえ思います。

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4月ごろの「シーズン 12」で新しい時代が始まる


4Gamer:
 「Sea of Thieves」を初めて遊ぶPlayStationのプレイヤーは,最初に何をすればいいでしょうか。

チャップマン氏:
 まずは時間をかけて,安全海域でしっかりとゲームに慣れてください。近年はチュートリアルもフィーチャーしていますが,普通のゲームのようにミニマップに自分の位置が表示されないので,最初は少し戸惑うかもしれません。ですが,テーブルの上に置かれた紙の地図を見て移動したり,手動で帆を上げたりといった行動で,没入性の高いゲームであることが感じられるようになったら,マジカルな体験ができると思います。
 それから遠海のシェアワールドに足を延ばしても,けっして後から入ってきた人が世知辛さを感じるようなゲームではありませんので安心してプレイしてほしいです。

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4Gamer:
 ゲームクリエイターとして自分たちが意図しなかった,驚くようなプレイはありましたか。

チャップマン氏:
 いっぱいありますよ。「Sea of Thieves」はカジュアルな見た目ながらも,これまで徐々にリアルなシミュレーション性を加えています。
 例えば,ゲーム中には「Chest of the Sorrow」(嘆きの宝箱)という,箱に人の顔がデザインされて実際に涙しているアイテムがあるのですが,それをほかのプレイヤーの船に持ち込んで隠してしまったプレイヤーがいました。涙は水の属性がありますので,長い時間が経過して,その船の持ち主が気付かないまま水が溜まってしまい,あげくの果てに沈没してしまったんです(笑)。

4Gamer:
 それはすごい(笑)。

チャップマン氏:
 ランタンを手に持って,火を付けたり消したりすることができます。これを利用して,近くを航行しているプレイヤーがモールス信号を送り合っているのを見たときはビックリしましたね。
 また,ゲーム中に死んでしまうと,プレイヤーは「Ferry of the Damned」(三途の川の渡し船,のような意味)に送られますが,その死に方によってはランタンの火の色が変化します。海でサメに食べられたら青に,火山口に落ちたりするなど火によりキルされた場合は赤色に,という感じです。この赤と青のランタンをうまく使って「海の警察」を気取るプレイヤーがいたり,クリスマスデコレーションのように使ったりと,プレイヤーたちのクリエイティビティには驚かされるばかりです。

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4Gamer:
 ランタンだけでもそこまでできるんですね。新しいプレイヤーにとっては「Emissary Flag(使節の旗)」も有効だと思いますが。

チャップマン氏:
 そうですね。コミュニティの要望で加えたシステムですが,Emissary Flagを購入することでプレイヤーは好きな貿易会社の「使節」となり,さまざまなミッションが与えられてお金を稼ぎやすくなります。遠海ではほかのプレイヤーの海賊行為のターゲットになりやすいですが,クエストが次々と舞い込んできますし,ゲームのチュートリアルとしても良く機能しています。

4Gamer:
 シーズン10ではソロプレイにも対応しましたね。

チャップマン氏:
 そうです。「Sea of Thieves」は,行きずりであっても仲間であっても一緒にプレイすることを念頭にデザインしていますが,ソロでプレイしたいという人も多くいることを認識していました。それだけに,「パイレーツ・オブ・カリビアン」や「The Legend of the Monkey Island」などストーリーを楽しめるコンテンツを充実させて,非常に幅広いプレイヤー層にも対応してきているのです。

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4Gamer:
 PlayStationプラットフォームをサポートすることで,例えばソニーのIPを使ったコンテンツがリリースされることはありますか?

チャップマン氏:
 いいアイデアですね。「パイレーツ・オブ・カリビアン」にしても「The Legend of the Monkey Island」にしても,ゲームにナラティブ性を与えるために提携していますので,何かPlayStationのゲーム作品で海賊に絡む面白いネタがあればゲーマーの皆さんに教えていただきたいです。

4Gamer:
 2024年度のロードマップはまだ公開されていませんが,今後の予定を話せる範囲で教えてください。

チャップマン氏:
 まず,ここ数年の成長をお話しさせていただきますと,我々はよりスムーズに流れていくようなゲームプレイにフォーカスするとともに,ゲーム体験そのものを拡張させてきました。
 プレイヤーがそれぞれに船を得て装飾にこだわったり,ギルドを組織して仲間と一緒に成長していったりなど,中期的,長期的なゲームコンテンツや機能が加えられています。

 いまお話ししたように,昨年末にはソロでもプレイできるように安全海域をフィーチャーし,クエストテーブルを使ってさまざまなクエストを管理できるようになったのはシーズン11のことです。今年4月ごろから始まる「シーズン 12」についての詳細はまだ公開できませんが,このシーズン11を以って「これまで築き上げてきた1つの時代が終わる」ことになります。
 と言っても,ゲームがまったく別モノになるということではありません。これまで築き上げてきたゲームシステムや機能,メカニックを利用して,新しいサンドボックス型の体験を提供し,世界を移動するための新しい手法や新しい武器タイプが実装される予定です。
 さらに今年後半には,古いファンの皆さんにとっては懐かしいキャラクターを呼び戻したり,ステルスやミスチーフ(いたずら)に特化したゲームシステムを導入したりする予定です。ですから,PlayStationプレイヤーだけでなく,PCやXboxのコミュニティの皆さんも引き続きご愛顧していただきたいですね。


4Gamer:
 古参ゲーマーに馴染み深いRareのゲームが,初めてPlayStationで体験できるというのは,日本のコミュニティにとっては非常に喜ばしいことではありますね。

チャップマン氏:
 はい。「Sea of Thieves」は,子供のころからいだいていた海賊像を,そのまま体現できるゲームです。仲間とハチャメチャなプレイをしようが,ジャック・スパロウと一緒に旅をしようが,びっくりするゲーム体験ができるはずです。皆さんが素晴らしいクルーと出会い,素晴らしい冒険を重ねていただけると信じています。

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 4月30日にPlayStationプラットフォームで正式にローンチされる予定の「Sea of Thieves」だが,「こちら」のニュース記事でも紹介しているように,すでにPlayStation Storeでは3つのエディションのプレオーダーが開始されている。北米の同プラットフォーム上では,現時点でもっともプレオーダーされているゲームになっているそうだ。
 以前にも連載記事で考察しているように,家庭用ゲーム機市場における「脱エクスクルーシブ化」の旗頭となる大きな役目を担った「Sea of Thieves」を,PlayStationプレイヤーが堪能できる日は近い。

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[2024/03/08 23:00]

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