そうだ アニメ，見よう：第190回はTVアニメ第2期「呪術廻戦 懐玉・玉折」。五条と夏油，若き呪術師たちの青春と決別が描かれる

　シリーズ累計発行部数が7000万部を超える，芥見下々氏の漫画「呪術廻戦」（集英社刊/既刊23巻）。2020年にTVアニメ化され（関連記事），そのクオリティの高さが話題を呼び，同年12月に公開された「劇場版 呪術廻戦 0」では，国内137億円，世界興収230億円以上の大ヒットを記録している。
　というわけで，「そうだ アニメ，見よう」第190回のタイトルは，TVアニメ第2期となる「呪術廻戦 懐玉・玉折」（毎週木曜23：56〜MBS・TBS系列ほか）。制作は第1期と同様にMAPPA，シリーズ構成・脚本も瀬古浩司氏が担当し，第1期や「チェンソーマン」を手掛けた御所園翔太氏が監督に初挑戦している。

「呪術廻戦 懐玉・玉折」

　特級呪物“両面宿儺の指”を飲み込み，己の魂に呪いを宿してしまった高校生の虎杖悠仁（CV：榎木淳弥）は，呪術師である五条 悟（CV：中村悠一）から，今すぐ死刑になるか，“両面宿儺の指”20本を探し出し，すべて取り込んだのちに死ぬかという選択を迫られ，対呪い専門機関である「東京都立呪術高等専門学校」（以下，呪術高専）へと入学することなった。
　そこで悠仁は，同じ1年の伏黒 恵（CV：内田雄馬）や釘崎野薔薇（CV：瀬戸麻沙美）らと共にさまざまな事件に遭遇し，その才能を開花させていく……。

　そこから時を遡った2006年春，五条と特級呪詛師・夏油 傑（CV：櫻井孝宏）の高専時代。呪術師として活躍し，向かうところ敵なしの五条と夏油の元に，不死の術式を持つ呪術界の要・天元からの依頼が届く。
　依頼は2つ。天元との適合者である「星漿体」の天内理子（CV：永瀬アンナ），その「護衛」と「抹消」だ。呪術界存続の為の護衛任務へと赴くことになった2人だが，そこに伏黒（CV：子安武人）を名乗る“術師殺し”が星漿体の暗殺を狙い介入してくる。


　五条たちは，暗殺者を返り討ちにし，護衛のためと称して沖縄へと理子を連れ出した。星漿体になるということは，天元と同化して，別人になるということ。少女が選ぶにはあまりに過酷な選択肢に，五条らは彼女の本音を確かめようとする。

“最強”と“最悪”の高専時代

　「呪術廻戦 懐玉・玉折」では，作品きっての人気キャラクターである五条 悟と夏油 傑，最強の呪術師と最悪の呪詛師と呼ばれる2人の過去が描かれる。現在は敵同士となってしまった2人だが，高専時代はバディを組む「たった1人の親友」同士であった。2人はどこで道を違えてしまったのか？　そのきっかけとなった「懐玉」（第25〜28話），そして袂を分かつまでを描いた「玉折」（第29話）という2つのエピソードが語られる。
　その後，第2期は悠仁ら高専チームが登場する現在の時間軸「渋谷事変」へと戻ることになるが，今回はこの「懐玉・玉折」にスポットを当てていこうと思う。


「懐玉」（第25〜28話）
　懐玉は4話構成で，星漿体の天内理子を狙う暗殺者たちと，五条＆夏油コンビの激しい攻防が描かれる。術式「無下限呪術」の使い手である五条はもちろん，呪霊を取り込み自在に操る術式「呪霊操術」を使う夏油も圧倒的な力で，天元との同化を阻止しようする呪詛士集団「Q」や「盤星教」のメンバーをねじ伏せていく。


　アクションシーンを軸に構成されているので，現在の時間軸で十分に活躍できてない2人の暴れっぷりを堪能できて，非常に爽快。アイマスクを外した五条に喜びを隠せないファンも少なくないと思うが，なにより仲のいい五条と夏油の掛け合いが見られるのがうれしいところだ。
　中でも，人間離れした身体能力の「天与呪縛」を持つ伏黒甚爾と五条の異次元バトルは，一見の価値あり。五条の珍しい“ある”シーンを見ることができる。どんなシーンかは，自分の目で確認してほしい。


「玉折」（第29話）
　星漿体護衛の一件から1年後の物語。2人は特級呪術師になり，覚醒した五条は，ほんとんどの事件を1人で解決していた。一方夏油は，あの一件からそれまで掲げていた「呪術は非術師を守るためにある」という信念が揺らぎ始め，ついに「非術師を皆殺しにすれば良い」という考えに至ってしまう。
　2人の決別が決定的になるエピソードだが，このとき夏油に助言した特級呪術・九十九由基（CV：日髙 のり子）は今後のストーリーでも重要な役割を果たすキャラクターとなる。ちなみに，これは両エピソードに共通することだが，1級呪術師の七海建人（CV：津田健次郎）や冥冥（CV：三石琴乃）の若かりし姿を確認できて，ほっこりできる。

OP＆EDで若き呪術師たちをチェック

　そんな五条と夏油，2人の青春時代を盛り上げているのが，オープニング＆エンディング曲だ。オープニングテーマは，キタニタツヤさんの「青のすみか」，エンディングテーマは崎山蒼志さんの「燈」となる。いずれも映像では，2人と同期生の家入硝子（CV：遠藤 綾）を加えた若き呪術師たちの日常シーンを確認できるので，気になる人はノンクレジットPVでチェックしてみよう。
　なお，「渋谷事変」以降では，オープニングテーマはKing Gnuの「SPECIALZ」，エンディングテーマは羊文学の「more than words」となっている。

そして「渋谷事変」へ

　「劇場版 呪術廻戦 0」も過去のエピソードを描いているが，「懐玉・玉折」ではそこで謎だった夏油の行動原理が明らかになっている。「玉折」のラストに，街の雑踏の中へ消えていく夏油と，それを止めることのできない五条のシーンがあり，この図式がまさに2人の関係性を表しているようで切ない。
　そして現在，第1期から続く時間軸の物語「渋谷事変」が放送中だ。ハロウィンで賑わう渋谷駅周辺に突如「帳（とばり）」が下ろされ，一般人が監禁状態に。高専のメンバーや呪術師たちも渋谷に集結し，かつてない大規模な戦闘が始まる。
　原作でもまだ途中のストーリーだけに，この事件がどう収束していくのかは予想もつかない。今後も「呪術廻戦」から目が離せなくなりそうだ。

TVアニメ「呪術廻戦」公式サイト

TVアニメ「呪術廻戦」公式X（旧Twitter）

放映データ
2023年7月〜
毎週水曜23：30〜TOKYO MX/サンテレビほか）

キャスト
五条 悟：中村悠一
夏油 傑：櫻井孝宏
家入硝子：遠藤 綾
天内理子：永瀬アンナ
伏黒甚爾：子安武人

スタッフ
原作：「呪術廻戦」芥見下々（集英社「週刊少年ジャンプ」連載）
監督：御所園翔太
シリーズ構成・脚本：瀬古浩司
キャラクターデザイン：平松禎史・小磯沙矢香
副監督：愛敬亮太
美術監督：東 潤一
色彩設計：松島英子
CGIプロデューサー：淡輪雄介
3DCGディレクター：石川大輔（モンスターズエッグ）
撮影監督：伊藤哲平
編集：柳 圭介
音楽：照井順政
オープニングテーマ：キタニタツヤ「青のすみか」
エンディングテーマ：崎山蒼志「燈」
音響監督：えびなやすのり
音響制作：dugout
制作：MAPPA

■Blu-ray＆DVD

『呪術廻戦』「懐玉・玉折／渋谷事変」Blu-ray & DVD シリーズ全8巻で発売決定！Blu-ray & DVD シリーズ、2023年10月18日(水)より発売開始！

商品情報
●「呪術廻戦 懐玉・玉折 1」Blu-ray & DVD初回生産限定版

【発売日】
2023年10月18日(水)

【価格】
Blu-ray：7,480円（税抜価格6,800円）
DVD：6,380円（税抜価格5,800円）

【品番】
Blu-ray：TBR33195D　DVD：TDV33196D

＜本編仕様＞
Blu-ray：1080p High Definition 16:9ワイドスクリーン／1層（BD25G）／
リニアPCM 2.0ch ステレオ／日本語字幕
DVD：16:9LB／片面１層／リニアPCM 2.0ch ステレオ／日本語字幕

＜収録分数＞
約72分（25〜27話収録）／DISC枚数：2枚（本編DISC＋特典CD）

＜特典内容＞
【初回仕様】
◆キャラクターデザイン：小磯沙矢香　描き下ろし三方背ケース

【初回封入特典】
◆スペシャルドラマCDオーディオドラマ「じゅじゅさんぽ」ほか
◆特製リーフレット
◆ジャケットイラストミニステッカー

【映像特典】
◆「懐玉・玉折」ノンクレジットオープニングムービー＆エンディングムービー