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「GV-N108TAORUS X-11GD」レビュー。GIGABYTEのゲームブランド「AORUS」から登場したGTX 1080 Tiカードを試す
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印刷2017/06/19 00:00

レビュー

GIGABYTEのゲームブランド「AORUS」,そのGTX 1080 Tiカードは高くて大きく,速かった

AORUS GeForce GTX 1080 Ti Xtreme Edition 11G
(GV-N108TAORUS X-11GD)

Text by 宮崎真一


AORUS GeForce GTX 1080 Ti Xtreme Edition 11G(型番:GV-N108TAORUS X-11GD)
メーカー:GIGA-BYTE TECHNOLOGY
問い合わせ先:CFD販売(販売代理店) 050-3786-9585(平日10:00〜12:00,13:00〜18:00)
実勢価格:11万4500〜12万円程度(※2017年6月19日現在)
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 2017年になってGIGA-BYTE TECHNOLOGY(以下,GIGABYTE)は,それまでもゲーマー向けノートPCや入力デバイスなどで用いてきた「AORUS」(オーラス)というブランドを,GIGABYTE全社で活用するゲーマー向け製品ブランドへ引き上げた。GIGABYTEはこれまで,AORUSのほかに「Xtreme Gaming」「G1 Gaming」といった具合に,いくつか異なるブランドを採用し(て市場に混乱を招い)ていたのだが,ついに,ゲーマー向けの統一ブランドが立ち上がったわけである。誤解を恐れずに言えば,ASUSTeK Computerが展開する「Republic of Gamers」やMSIによる「G Series」のGIGABYTE版だ。

 今回取り上げる「AORUS GeForce GTX 1080 Ti Xtreme Edition 11G」(型番:GV-N108TAORUS X-11GD,以下型番表記)はまさに,そのAORUSブランドから登場した「GeForce GTX 1080 Ti」(以下,GTX 1080 Ti)搭載グラフィックスカードである。空冷クーラーを搭載するモデルとしては現行世代の最上位という位置づけなので,1年前ならXtreme Gamingブランドで出ていた製品ということになるだろう。
 では,その実力はどれほどなのか。テスト方法を少し変えつつ,検証により明らかにしてみたい。


カードサイズは約289mm。大型ファンを立体的に搭載することで小型化を図った独自クーラーを採用


 GTX 1080 Tiの詳細についてはGPUレビュー記事を参照してもらうとして,本稿ではさっそく,GV-N108TAORUS X-11GDの実機を確認していこう。

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 カード長は実測約289mm(※突起部除く)。NVIDIAの「GeForce GTX 1080 Ti Founders Edition」(以下,Founders Edition)が同267mmだったので,それと比べると約22mm長い計算になる。ただし,GV-N108TAORUS X-11GDの場合,基板長自体はFounders Editionと同じで,搭載するクーラー「WINDFORCE STACK 3X 100mm」が,カード後方に約22mmはみ出た格好だ。

 では基板サイズはFounders Editionと同じかというとそういうわけではなく,GV-N108TAORUS X-11GDの場合,マザーボードに装着したときの垂直方向にブラケットから約26mmほどはみ出たデザインだ。さらに言えば,WINDFORCE STACK 3X 100mmは3スロット仕様なので,PCケースを選ぶ。300mm超級のグラフィックスカード対応を謳うMini-ITXケースであっても,カードの横幅およびクーラーの厚みが理由で搭載できない可能性はあるだろう。基本的にはある程度の大きさのある筐体向けという理解をしておいたほうが安全だ。

全長30cm弱,そして3スロット仕様ということもあり,見た目の印象はかなり大きい
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WINDFORCE STACK 3X 100mmに寄ったところ。外から見て,中央部のファンが一段奥まった位置にあるのと,Blade Fan仕様にあるのを確認できる
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ファン部を取り外してヒートシンク側から見ると,3基のファンで羽の部分が一部重なっているのが分かる。左右のファンは反時計回り,中央のファンのみ時計回りと回転方向を変えることで,エアフローの最適化が図られ,ヒートスプレッダ全体へまんべんなく風を当てることができるとのことだ
 さて,カードを大きくしている主因のWINDFORCE STACK 3X 100mmクーラーだが,これは100mm角相当のファン3基を採用し,中央のファンを一段奥まったところへ配置するという,「GV-N1080XTREME GAMING-8GD-PP」が採用していたのと同タイプのクーラーである。GIGABYTEによれば,80mm角相当のファンを3基搭載する構成と比べてエアフローが2倍となり,冷却性能も10%向上するという。

 さらに,左右のファンは反時計回り,中央のファンのみ時計回りと回転方向を変えることで,エアフローが改善し,ヒートスプレッダとその下の基板へまんべんなく風を当てることができるようになるそうだ。
 羽は,そうでないものと比べてエアフローが約23%向上するとされる,WINDFORCEクーラー伝統の「Blade Fan」仕様だ。

 なお,ファンはGPUの温度が55℃以下になると回転を停止する「3D Active Fan」機能を採用しており,ファンが止まるとカード側面の「FAN STOP」部のLEDが光って知らせてくれる仕様になっている。
 ちなみにこの3D Active Fan機能は,専用コントロールパネル兼オーバークロックユーティリティソフト「AORUS GRAPHICS ENGINE」から有効/無効を切り換えられる。

AORUS GRAPHICS ENGINEの右下部分には「Cemi passive」と書かれたアイコンがあるが,この表示だとGPU温度が55℃以下の状態におけるファン回転の停止機能が有効。このアイコンをクリックすると表示が「Active Fan」に変わり,アイドル時でもファン回転は停止しなくなる。ちなみに右はファンが止まってFAN STOPが光っている状態
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AORUS GRAPHICS ENGINEのLED CONTROLで,LEDの色や光り方を変更できる。右下に見える「LED」のアイコンがカードに対して設定されたLEDの光り方と連動するので参考になる
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 なお,クーラー部のLEDを何色でどのように光らせるかは,AORUS GRAPHICS ENGINEの「LED CONTROL」から制御可能だ。WINDFORCE STACK 3X 100mmではFAN STOP表示中央のファンを囲むような「X」字状の部分と,側面にあるAORUSロゴ,そして前出のFAN STOP表示をまとめて管理できるようになっており,色はRGB各0〜255の範囲,光り方は点灯し続ける「CONSISTENT」,ゆっくり明滅を繰り返す「BREATHING」,点滅させる「FLASHING」,2回の点滅を繰り返す「DUAL FLASHING」,再生するサウンドに合わせて点滅する「AUDIO FLASHING」,色が順次変化していく「CIRCLING」から選択できるようになっている。さらに「MONITORING」を選ぶと,GPUの温度や使用率,ファンの回転数に合わせて明るさを変化させるといったことも可能だ。

LEDの色を赤,青,白と変えてみた例
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外部とVR Linkの合計7端子を備えるGV-N108TAORUS X-11GDだが,同時に利用できるのは4つまでになる
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 クーラーの話が長くなったが,外部出力インタフェースはDisplayPort 1.4×3,HDMI 2.0b(Type A)×2,Dual-Link DVI-D×1という,なかなか豪華なラインナップだ。しかも,GV-N108TAORUS X-11GDの場合は,PCケース側が対応している場合にHDMI出力をPCケースの前面へ引き出し,VR対応ヘッドマウントディスプレイの取り回しを行いやすくするための“内部出力インタフェース”として,カード後方にもう1つのHDMI 2.0b(Type A)端子を「VR Link」として搭載している。

 ただ,これらをすべて使えるわけではなく,外部出力インタフェースとしてのセカンダリHDMI 2.0bとDual-link DVI-D,そしてカード後方にあるHDMI 2.0bはいずれか1つしか利用できない排他仕様となっているので,この点はご注意を。VR Linkを使うときは6ポート,使わないときは5ポートから任意の4ポートを選択可能だ。

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 補助電源コネクタは8ピン×2という構成なので,8ピン+6ピンという構成のFounders Editionと比べると供給できる電力は75W増えている。
 また,基板背面側にカードのたわみを防ぐ補強板兼放熱板を採用するのは昨今のハイエンドグラフィックスカードとして標準的ながら,ちょうどGPUの裏に当たる部分にはストライプ状の突起入り銅板「Copper Back Plate」が入っているのは目を引くところだ。GIGABYTEによると,この銅板で熱を受け,さらにストライプ状の突起がPCケース内のエアフローを活用して冷却効果を高めているそうだ。

カード背面ではCopper Back Plateの存在が目を引く。そこにはわずかな高さのストライプ状突起があるのだが,これがPCケース内のエアフローを活かした冷却に効果アリとのこと
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従来同様に「OC」「GAMING」「SILENT」と3つの動作モードを用意。切り換えるソフトは刷新に


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 冒頭で「現行世代のハイエンドモデル」と紹介したのでピンときている人も多いと思うが,GV-N108TAORUS X-11GDはメーカーレベルで動作クロックの引き上げられたクロックアップモデルである。そして同時に,最近のGIGABYTE製グラフィックスカードらしく,メーカー保証の範囲内で選択できる動作モードとして「OC MODE」「GAMING MODE」「SILENT MODE」の3つを持つため,ユーザーはその動作を切り換えることが可能だ。
 GTX 1080 Tiのリファレンスともども,各動作モードのクロックを下にまとめてみたので,参考にしてほしい。

  • OC MODE:ベース1632MHz,ブースト1746MHz,メモリ11448MHz相当
  • GAMING MODE:ベース1607MHz,ブースト1721MHz,メモリ11232MHz相当
  • SILENT MODE:ベース1480MHz,ブースト1582MHz,メモリ11010MHz相当
  • GTX 1080 Ti:ベース1480MHz,ブースト1582MHz,メモリ11010MHz相当

 工場出荷時設定となるGAMING MODEは,GTX 1080 Tiのリファレンスと比べてGPUのベースクロックを127MHz,ブーストクロックを139MHz,メモリクロックを222MHz相当引き上げた状態で,パーセンテージで言えばGPUクロックは約9%,メモリクロックは約2%高い。OC MODEはそこからさらにGPUクロックを25MHz,メモリクロックを216MHz引き上げたモードで,一方のSILENT MODEはリファレンスクロックそのものとなる。

 なおユーザーは,自己責任(=メーカー保証の範囲外となること)を覚悟すれば,前出のAORUS GRAPHICS ENGINEから,動作クロックを細かく設定することが可能だ。以下本稿ではバージョン1.09のAORUS GRAPHICS ENGINEで話を進めていくが,メインウインドウ右下のアイコンをクリックすることで,“自己責任モード”としての「PROFESSIONAL MODE」を呼び出せるようになっている。

AORUS GAMING ENGINEのメインウインドウ(左)。動作モード自体は中央ペインのタコメーターを模した大型アイコンをクリックするだけで切り換えられる。この状態で右下のアイコンをクリックすると,右に示したような画面に切り替わるが,これがPROFESSIONAL MODEだ。GPUのコア電圧を設定する「GPU VOLTAGE」は初期状態だとロックが掛かっているが,すぐ右に見える鍵のアイコンをクリックするとロックが外れ,変更できるようになる
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GPU BOOST CLOCKの[CUSTOMIZED]ボタンをクリックすると出てくるウインドウ。任意の点をマウスでドラッグすることでブーストクロックを変更できる
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 GPUコアクロックはブーストクロックの指定となり,1521〜2594MHzの範囲を1MHz刻みで設定できるが,面白いのは用意された[CUSTOMIZED]ボタンだ。これをクリックすると「GPUのコア電圧とブーストクロックの折れ線グラフ」ウインドウが開き,グラフ上の点をマウスでドラッグすることにより,「各電圧におけるブーストクロック」を,GPU Boost 3.0の規定内で自由に動かせるようになっている。

 PROFESSIONAL MODEでのオーバークロック関連ではそのほか,GPUのコア電圧は「どれだけ増やすか」を0〜100%の範囲を1%刻み(※工場出荷状態は0%。100%を設定すると出荷時の2倍になる),メモリクロックは9232〜13232MHz相当の範囲を1MHz刻みで増やすことが可能だ。
 なお,後述するテスト環境において,AORUS GRAPHICS ENGINEのモニタリング機能を使ってコアクロックを追ってみたところ,OC MODEでは1911MHz,GAMING MODEでは1873MHz,SILENT MODEでは1772MHzまでGPUクロックが上がるのを確認できた。

OC MODE(左)とGAMING MODE(中央),SILENT MODE(右)のそれぞれで最大GPUクロックを追ったところ
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FAN SPEEDで[CUSTOMIZED]ボタンを押したところ。この場合,回転数の最小値は20%となり,それ以下に設定することはできなかった
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 なおPROFESSIONAL MODEではもう1つ,「FAN SPEED」の項目も設定できる。選択肢は「AUTO」「MANUAL」「CUSTOMIZED」の3つで,[MANUAL]ボタンを押した場合,直下のスライドバーを用いることにより,ファンの回転数を0〜100%の範囲から1%刻みで指定し,固定できる。[CUSTOMIZED]ボタンを選ぶと,GPUクロック設定で同名のボタンを押したときと同じように今度は「GPUの温度とファン回転数のグラフ」が出てきて,マウス操作で温度条件ごとのファン回転数を変更可能だ。


見るからにコストのかかっている基板デザイン


 GPUクーラーの取り外しはメーカー保証外の行為であり,取り外した時点でメーカー保証は失効することを断りつつ,今回はレビューのため,特別にクーラーを取り外してGPUクーラーと基板を見ていきたい。

GPUとメモリチップが銅製プレートに触れる仕様。電源部も直上の放熱フィンと一体化したヒートシンクと触れている
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 WINDFORCE STACK 3X 100mmクーラーを外してまず気付くのは,クーラーの底面が大型の銅板になっていて,GPUとはサーマルグリス経由,メモリチップとは熱伝導シート経由で触れていることと,電源部の熱も熱伝導シート経由でクーラーで直接受けていること。GPUは表と裏の両方から銅板で挟まれているわけだ。
 放熱フィンは2ブロック構成で,その間を5本の8mm径ヒートパイプで結ぶ仕様。別途,GPUの真上にある放熱フィンブロックも効果的に活用すべく8mm径と6mm径のヒートパイプも各1本ずつも搭載している。

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熱伝導率を引き上げられるとしてGIGABYTEが長年にわたって採用している「Composite Heatpipe」(コンポジットヒートパイプ)を今回も採用しているそうだ
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カード背面側の補強板とCopper Back Plateを外したところ。補強板は電源部,Copper Back Plateは(当たり前だが)GPUの熱を受けるべく,それぞれ肉厚の熱伝導シートが貼ってあった

 また放熱フィン部は,「Triangle Cool」技術を採用してエアフローを整えるための傾斜が付いていたり,「く」の字型を採用することで,直線形状のフィンと比べて冷却性能が4%向上するというフィン「Angular Fin」になっていたりと,GIGABYTE伝統の技術はてんこ盛りといった印象を受けた。

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GPUのすぐ上は,Triangle Cool技術により,エアフローを整えるための傾斜がついている
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フィンを横から見たところ。Angular Fin構造でくの字に曲がっているのがよく分かる

見ただけでは分からないが,「長期間の利用においても,湿気や埃,腐食から保護できる」(GIGABYTE)という,航空宇宙グレードの通気性コーティングを施してあるとのこと
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 基板上の電源部は見る限り12+2フェーズ構成のようだ。Founders Editionだと7+2フェーズ構成なので電源周りは相当な強化が入っているわけである。
 GIGABYTEによれば,電源部では「NVIDIA TITAN X」と同じ,高品質な部材を採用しているとのこと。それを踏まえて見てみると,GPU用にはFairchild Semiconductor製Driver MOSFET「FDMF6823C」をフェーズあたり1基,グラフィックスメモリ用には同じくFairchild Semiconductor製のN-Channel MOSFETである「FDMS3604AS」を1フェーズあたり2基搭載する構成だった。いわゆるDriver MOSFET(DrMOS)か否かという違いはさておき,GPU用のMOSFETが高性能という点では確かに共通と言っていいのではなかろうか。
 搭載するコンデンサが「330」刻印入りのもので統一されているのも,NVIDIA TITAN Xと確かによく似ている。

電源部は12+2フェーズという豪華な作り。330刻印のコンデンサはカード背面側にも付いている。また,電源部と補助電源コネクタの間には,LEDとファンの制御用の台湾Holtek Semiconductor製32bitマイコン「HT32F52241」の姿も確認できた
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 メモリチップは,Micron Technology製のGDDR5Xである「MT58K256M321JA-110」(※チップ上の刻印は「6UA77 D9VRL」,11Gbps品)を採用。これはFounders Editionが採用するのと同じものだ。

GDDR5XはMicron TechnologyのMT58K256M321JA-110(左)。8Gbit品なので11枚でメモリ容量11GBを実現する。1枚分の空きパターンがある点は,GTX 1080 Ti Founders Editionから変わっていない。右はGTX 1080 Ti GPUだ
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3つの動作モードでFounders Editionと比較。レギュレーション20世代先取りで新テスト追加


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 それでは,テスト環境のセットアップに入ろう。GV-N108TAORUS X-11GDは3つの動作モードを持つため,それぞれでテストを実行し,そのスコアをFounders Editionと比較することにしたい。
 テストに用いたグラフィックスドライバは「GeForce 382.33 Driver」。すでにそれより新しい「GeForce 382.53 Driver」がリリース済みだが,テスト開始タイミングの都合ということでご容赦を。
 そのほかのテスト環境はのとおりだ。

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 そしてテスト方法だが,今回はそう遠くない将来に導入予定である4Gamerのベンチマークレギュレーション20世代を先取りする形で,いくつか新要素を加えている。まずタイトルは,レギュレーション19世代から「3DMark」(Version 2.3.3732)と「DOOM」「Forza Horizon 3」を採用しつつ,

  • 「Far Cry Primal」の代わりに「Overwatch」
  • 新規に「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下,PUBG)
  • 「Fallout 4」の代わりに「Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands」(以下,Wildlands)
  • 「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」の代わりに「ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター ベンチマーク」(以下,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ)

をそれぞれ用いることにした。また,3DMark以外のタイトルでは,「Fraps」(Version 3.5.99)もしくは「OCAT」(Version 1.0.1)+「PresentMonLauncher」(Version 1.0)を用いて平均だけでなく最小フレームレートも取得する。ただし,DOOMはなぜかOCATのログファイルが生成されないため,従来どおり平均フレームレートのみを取得するので,その点はご了承を。
 新規に採用するタイトルにおけるテストの詳細はレギュレーション20.0の公開を待ってほしいが,以下,簡単に説明しておきたい。

Overwatch

 「トレーニング」から「練習場」を選択。一定のルートを1分間進み,その間の平均フレームレートと最小フレームレートをFrapsで取得する。
 実際に操作するという不確定要素があるため,2回テストを行い,その平均をスコアとして採用する。なお,グラフィックス品質は「ウルトラ」プリセットを選択している。

PUBG

 ゲームをプレイし,ソスノフカ島の南側を1分間走り続け,Frapsでその間の平均フレームレートと最小フレームレートを取得。こちらも実際に操作を行う都合上,2回テストを行い,その平均をスコアとして採用している。「グラフィックのクォリティー」は「高」プリセットを選択した。

Wildlands

 ゲーム内に用意されたベンチマークモードを利用。ベンチマーク終了時に表示される平均フレームレートと最小フレームレートを取得する。テストは2回連続して実行し,平均をスコアとして採用することにした。
 「グラフィック設定」は「ウルトラ」プリセットを選択している。

FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ

 基本的にはベンチマークレギュレーション19.0と同じ。「グラフィック設定プリセット」は「最高品質」を選択し,テストを1回だけ実行して,最後に表示されるスコアとして採用。同時に,レポートファイルへ記録される平均フレームレートも取得する。
 ただし,このレポートファイルには最小フレームレートは記録されないため,同時にFrapsを実行して,最小フレームレートはそちらで取得することになる。


 レギュレーション19世代のタイトルでも,今回は主役がGTX 1080 Ti搭載カードということもあり,グラフィックス設定プリセットはより高いほうだけを採用し,また,同じ理由で解像度は3840×2160ドットと2560×1440ドットの2パターンとした。
 なお,これはいつものことだが,CPUの自動クロックアップ機能である「Intel Turbo Boost Technology」は,テスト状況によって異なる挙動を示す可能性を無視できないため,同機能をマザーボードのUEFIから無効化してある。


GAMING MODEでGTX 1080 Tiから1割弱のスコア向上を確認。OC MODEの「プラスα」が得られるかはタイトル次第


 以下,グラフ中に限りGV-N108TAORUS X-11GDを「AORUS 1080 Ti」と表記し,各動作モードはその後ろに「MODE」抜きの丸括弧書きすることと,Founders Editionは分かりやすさ重視でGTX 1080 Tiと表記することをお断りしつつ,順にスコアを見ていこう。

 グラフ1は3DMarkの「Fire Strike」における総合スコアをまとめたものだ。GV-N108TAORUS X-11GDのGAMING MODEはGTX 1080 Tiに対して約4%高いスコアを示しており,クロックアップの効果を確認できる。ただその一方でOC MODEの効果は劇的でないのも分かるだろう。リファレンスクロック設定となるSILENT MODEのスコアは,Founders Editionとほぼ同じだ。

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 続いてグラフ2は同じ3DMarkからDirectX 12世代のテストとなる「Time Spy」の総合スコアをまとめたものになる。
 ここでGV-N108TAORUS X-11GDのGAMING MODEはFounders Editionに対して約5%と,これまた意味のあるスコア向上を示した。ちょっと気になるのはOC MODEのスコアがGAMING MODEより低いことだが,その違いは1%にも達していないので,「ほぼ横並び」という理解でいいだろう。
 SILENT MODEのスコアがFounders Editionとほぼ同じなのはここでも変わっていない。

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 初めてベンチマークスコアを掲載することになるOverwatchのスコアがグラフ3,4だが,ここでは平均フレームレートで見たとき,GV-N108TAORUS X-11GDのGAMING MODEとFounders Editionとのスコア差が7〜8%程度に開き,さらにOC MODEだと9〜10%程度に開いた。SILENT MODEでもFounders Editionに対して1〜2%程度高いスコアなので,Overwatchのような描画負荷の低いタイトルでは,やはりクロックが“効く”という理解でいいだろう。
 最小フレームレートに注目すると,3840×2160ドット条件でGAMING MODE以上であれば垂直リフレッシュレート144Hzのディスプレイで上限貼り付きを実現できる結果なのが興味深い。

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 続いてこちらもテスト結果初掲載となるPUBGだが,グラフ5,6を見ると,GV-N108TAORUS X-11GDはFounders Editionに対して10〜13%程度高いスコアを示しているのが分かる。
 OC MODEだとそれが11〜14%程度,SILENT MODEだと約7%程度なので,ゲーム側の最適化不足で平均フレームレートは上がっていないものの,傾向自体はOverwatchに近い(=ゲーム側の負荷自体はそれほど大きくない)と言っていいのではなかろうか。

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 前述のとおり平均フレームレートのみのスコアとなるDOOMだが,ゲームの仕様上,フレームレート200fpsが上限となることもあり,解像度2560×1440ドット条件ではスコアが丸まりつつある(グラフ7)。そこで3840×2160ドットに注目すると,GV-N108TAORUS X-11GDのGAMING MODEはFounders Editionに対して約9%と,Overwatchに近いスコア差を示している。OC MODEおよびSILENT MODEのスコアも同様だ。

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 Wildlandsの結果がグラフ8,9である。
 GV-N108TAORUS X-11GDのGAMING MODEはFounders Editionに対して平均フレームレートで6〜7%程度,最小フレームレートで約9%高いスコアを示した。3DMarkともOverwatchとも似たスコアと言っていいだろう。
 SILENT MODEでも最小フレームレートが4〜6%程度上がっているのは,大型クーラー採用効果といったところか。

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 グラフ10はFFXIV紅蓮のリベレーター ベンチの総合スコアを,グラフ11,12はその平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものになる。
 まず総合スコアのほうから見てみると,解像度2560×1440ドットでは数字がやや丸まり,相対的なCPUボトルネックが生じている気配を感じさせるものの,3840×2160ドットだと,GV-N108TAORUS X-11GDはFounders Editionに対してGAMING MODEで約7%,OC MODEで約9%と,メーカーレベルのクロックアップ効果を確認可能だ。

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 フレームレートを見てみると,2560×1440ドットでは最小のほうが横並びになっているので,やはり頭打ちがあると言い切ってしまっていいだろう。
 3840×2160ドットでは,総合スコアを踏襲したスコア傾向を確認できる。

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 性能検証の最後はForza Horizon 3の結果だ。グラフ13,14を見ると,平均フレームレートでGV-N108TAORUS X-11GDはFounders Editionに対してOC MODEで約8%,GAMING MODEで約6%高いスコアを示し,SILENT MODEでは互角なので,3DMarkの結果を踏襲していると言える。

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消費電力はバッドケースを除けばそれほど増大せず。搭載するクーラーは冷却性能,静音性ともに優秀


 クロックアップモデルとなると消費電力の増加が懸念されるが,果たしてAORUS 1080 TiはGTX 1080 Ti Founders Editionからどの程度の差があるのだろうか。いつものようにログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の消費電力を比較してみよう。
 テストにあたっては,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時とした。

 その結果はグラフ15のとおりだ。アイドル時のスコアはGV-N108TAORUS X-11GDの3モードでキレイに63Wで揃い,いずれもFounders Editionより若干高くなった。基板設計を考えると妥当だろう。
 一方の各アプリケーション実行時だと,動作クロック引き上げ率の割りには消費電力が増大していない印象だ。もちろんForza Horizon 3というバッドケースではOC MODEで30W近く上がってしまっているのだが,それを除けばGAMING MODEでFounders Edition比プラス2〜9W。「Pascal世代のGPUを搭載するクロックアップモデル」としては大人しいと言っていいのではなかろうか。

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 GPUの温度も確認しておこう。ここでは,温度24℃の室内において,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「3DMark時」として,アイドル時ともども,「GPU-Z」(Version 2.1.0)から温度を取得することにした。

 その結果がグラフ16だが,アイドル時はWINDFORCE STACK 3X 100mmがファンの回転を停止させるため,48℃と少し高めだ。ただ,アイドル時にこの50℃弱という温度が問題になることはまずないろう。
 対する高負荷時だとGAMING MODEで72℃,OC MODEでも73℃と,まったく問題のないスコアを示している。さすがは大型クーラー,冷却能力は申し分ないといったところだ。なお,余談気味に続けておくと,バラック状態で試す限り,Copper Back Plateを取り外してもGPU温度に違いは生じなかった。今回はPCケースを用意できていないのでこれ以上の検証はできないが,Copper Back PlateはあくまでもPCケース内でエアフローが生じている環境に向けたものだということなのかもしれない。

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 WINDFORCE STACK 3X 100mmの動作音はどうだろうか。今回はカードに正対する形で30cm離した地点にカメラを置き,アイドル状態で1分間放置した後,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチを4分間実行したときの様子を録画した計5分間をビデオ撮影してみることにした。なお,動作モードは工場出荷時設定のGAMING MODEを選択している。
 まず,最初の1分間はファンが停止しているため,聞こえる音はCPUクーラーや電源ユニットなどによる環境音だ。ベンチマークを起動すると60秒後,つまりファイル冒頭から120秒後にファンが回転を始めるが,見てもらうと,その動作音がかなり小さいのに気付くだろう。少なくともFounders Editionと比べると動作音は相当に小さく,ハイエンド市場向け製品として静音性は高いと言ってしまっていい。
 なお,「OC MODEだとどうなのよ」と思う人もいるかもしれないが,消費電力やGPUの温度に違いがないことからも想像してもらえるとおり,試聴印象はGAMING MODEとまったく変わらなかった。



GTX 1080 Tiカードとしては高価で大きいが,純粋に性能を追求するなら魅力的


製品ボックス
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 GV-N108TAORUS X-11GDは,工場出荷時設定であるGAMING MODEでFounders Editionより1割弱高い性能を発揮し,消費電力の増大はそれほど大きくなく,また搭載するクーラーの冷却能力も静音性も高いという製品だ。メーカーレベルのクロックアップモデルとして十分に魅力的だと述べていいだろう。
 一方で,GPUクーラーが3スロット仕様でカード全体も大きいため,PCケースを選ぶことと,せっかく3つある動作モードを選択する理由があまりないのは残念なところだ。とくに後者については最近のGIGABYTE製グラフィックスカードを評価するとき毎回言っている気がするが,せっかくメーカーレベルでGPUの選別を行い,それに「GPU Gauntlet Sorting」といった立派な名前も付けているのだから,OC MODEではもう少しアグレッシブな設定にしてもいいのではないかと思う。

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 AORUS 1080 Tiの実売価格は11万4500〜12万円程度(※2017年6月19日現在)。GTX 1080 Tiカードは今や,ブランドさえ問わなければ8万円台から購入できたりもするので,そう考えると割高感は否めない。
 ただ,高いバランスを実現したGTX 1080 Tiカードであることは間違いないので,とにかく高性能なグラフィックスカードが欲しいなら,選択肢として一考の価値ありだと言える。

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